Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 血管
ワークショップ 血管 血管エコー標準化の実際と課題

(S400)

腎動脈狭窄の超音波診断の実際

Diagnosis of renal artery stenosis by ultrasonography

金田 智

Satoshi KANEDA

東京都済生会中央病院放射線科

Department of Radiology, Saiseikai central hospital

キーワード :

【目的】
済生会中央病院(以下当院)で行われている腎動脈超音波検査の実際を述べ,診断上の問題点を検討する.
【方法および対象】
2011年1月から2016年12月までの6年間に当院で腎動脈超音波検査が実施された1230症例のうち,CT・MRIなどで腎動脈狭窄の診断が確定された13症例(右3症例(1例は分枝),左8症例,両側2症例)を中心に,腎動脈収縮期最高血流速度(PSV)180cm/sec以上,腎の大きさの左右差(15mm以上),末梢腎動脈のEarly systolic peak(ESP)の有無,血流速度(末梢PSV)の左右差(2倍以上),RI値の左右差,加速時間(AT)(100msec以上)などの検出率を評価した.
【結果】
PSV180cm/sec以上は14動脈中10動脈,両側でない症例で腎の大きさの左右差が見られたものは6/11,RI値の左右差は6/11,末梢腎動脈PSVの左右差は7/11,ESPの消失は6/15,AT延長は大動脈弁狭窄を有する症例を除いた7/14となった.
【検討】
PSVは再現性も比較的あり,信頼度が高い.しかし非狭窄例でも180cm/secを超える症例が時にあった.「超音波による腎動脈病変の標準的評価法」では,血流速度の信頼性についてドプラ角による違いがあると指摘している.当院ではカラードプラ断層像で,流速レンジを調整しても折り返し現象が解消できないことを示す画像を判断の根拠の一つとしている.
末梢側の波形評価ではESPとATの延長の判断が困難な症例があった.高血流速度に到達する前に加速度が低下する波形ではESPをありと判断すればATの延長はなく,なしと判断すればATの延長となるため,判断の再現性の問題があると考えられる.末梢腎動脈のRI値は,結構ばらつきが多く,RI値の左右差での評価も困難な症例がいくつか見られた.
分枝の狭窄があった症例では,末梢の複数個所でドプラ波形を検出して発見できた.腎中央部では,腹側枝側と背側枝側から検出するように試みており,当院では上極下極と併せて4点での検出を推奨している.
当院では腎動脈狭窄の診断は,PSVを中心的な診断根拠とし,末梢のRI値の左右差,腎の大きさの左右差,ESPやATの延長を次のレベルの診断根拠として行っているのが現状であり,「超音波による腎動脈病変の標準的評価法」に述べられている通り,総合的な判断による診断となっている.
両側症例や複数腎動脈,末梢腎動脈狭窄など,狭窄部の位置も様々であり,また腎実質障害の程度や年齢など評価するパラメータに影響するファクターが多く,確実な診断はやはり難しいと言わざるを得ない.とくにESPとATの延長は判断に迷う事が多く,よりわかりやすい判断基準を検討する必要があるだろう.