Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 血管
シンポジウム 血管2 臨床医に聞く治療の実際とUSの役割

(S398)

下腿うっ滞性皮膚炎・潰瘍の診断と治療

Diagnosis and Strategy of Sever Refractory Leg Ulcers and Stasis Dermatitis

春田 直樹, 新原 亮, 河内 雅年, 矢野 琢也

Naoki HARUTA, Ryo SHINHARA, Masatoshi KOUCHI, Takuya YANO

1仁鷹会たかの橋中央病院血管外科・内視鏡外科, 2三菱三原病院外科

1Vascular Surgery & Endoscopic Surgery, Takanobashi Central Hospital, Jinyoukai Medical Corporation, 2Surgery, Mitsubishi Mihara Hospital

キーワード :

静脈うっ滞を原因とする下腿脂肪硬化性皮膚炎・難治性潰瘍(以下:C4b-C6病変)に対する治療法として考案された内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(以下SEPS:subfascial endoscopic perforator surgery)は,2014年4月1日付けで「K617-5:内視鏡下下肢静脈瘤不全穿通枝切離術」として新たに保険収載されました.
静脈瘤を長期未治療で放置しておりますと,下肢特に下腿が慢性静脈高血圧という病態に晒される結果,内果近傍のC4b-C6病変,静脈瘤破裂などを来します.この段階まで進行した症例の多くは,下腿にある穿通枝静脈の弁不全(不全穿通枝:IPV(Incompetent Perforating Vein))も伴うようになっており,深部静脈より表在静脈系に直接逆流が生じ,更に皮膚病変が進行しますが,この段階では,新たな潰瘍形成を来す恐れがあるため,下腿で直接静脈処置をすることは困難です.
静脈うっ滞性皮膚炎において圧迫療法が第一選択であることに未だ変わりはありませが,SEPS等の血管外科治療を選択することで,うっ滞性皮膚炎の鎮静化を早めたり,圧迫療法の効果を高めたりする利点があります.
SEPSは内視鏡を用いて正常皮膚部よりアクセスし,C4b-C6病変部皮下に存在するIPVを切離する術式で,術前診断において超音波検査で,静脈うっ滞性皮膚炎の主因である「慢性静脈高血圧」と言う病態を鑑別し,また手術に先立ち責任病変であるIPVの同定とマーキングが手術の成否の鍵であります.
そこで今回下肢の慢性静脈高血圧症に関して解説し,SEPSがどの様な機序でこの病態を改善するのかを解説致します.