Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 血管
シンポジウム 血管2 臨床医に聞く治療の実際とUSの役割

(S397)

下肢静脈瘤に対する各種デバイスによる血管内焼灼術

Endovenous thermal ablation using various devices for varicose veins

広川 雅之, 栗原 伸久, 山本 崇

Masayuki HIROKAWA, Nobuhisa KURIHARA, Takashi YAMAMOTO

お茶の水血管外科クリニック血管外科

Vascular Surgery, Ochanomizu Vascular and Vein Clinic

キーワード :

【はじめに】
下肢静脈瘤に対する血管内治療は,2011年に血管内レーザー焼灼術(endovenous laser ablation: EVLA)が保険収載されて以来,症例数は年々増加し従来のストリッピング手術を上回るようになっている.最初に認可された波長980nmレーザーは術後疼痛・皮下出血が一定の割合で認められたが,2014年に認可された高周波焼灼術(radiofrequency ablation: RFA)および波長1470nmレーザーはこれらの欠点を克服しより低侵襲の治療となっている.今回は当院における血管内焼灼術の治療成績について報告する.
【対象と方法】
2005年12月より2016年7月までに当院で伏在型静脈瘤に対し血管内焼灼術を施行した12,393例を対象とした.EVLAは波長1320nmレーザーを258例,2000nmを26例,980nmを6154例および1470nmを3132例施行した.ClosureFASTTMカテーテルによるRFAを2823例施行している.手術はエコーガイド下穿刺アプローチにて光ファイバー(RFAカテーテル)を深部静脈接合部まで挿入,TLA麻酔下に静脈を焼灼した.エコー検査による術後経過観察を行い,3cm以上の内腔開存およびミルキング操作により血流を認めた場合を再疎通と診断した.
【結果】
術後疼痛は,bare-tip fiberを使用したEVLAでは,波長1320nm,1470nm,2000nmおよび980nmレーザーで,それぞれ9.6%,7.4%,17.9%,2.9%であり,側方照射型ファイバー(radial fiber)を使用した波長1470nmレーザーによるEVLAでは0.2%,RFAでは0.3%であった.Kaplan-Meire法による焼灼静脈閉塞率は,EVLAでは98.3-100%(18ヶ月-10年),RFAでは94.1%(17ヶ月)であった.
【まとめ】
下肢静脈瘤に対する血管内治療はすべてエコーガイド下に行われる低侵襲治療であり,特に,波長1470nmレーザーと全周照射型ファイバーによるEVLAとClosureFASTTMカテーテルによるRFAは,術後疼痛が少なく静脈閉塞率も良好であった.