Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 泌尿器科
パネルディスカッション 泌尿器科 各領域のトップランナーと共に泌尿器科領域の発展を考える~新技術の泌尿器科領域での応用~

(S386)

消化器領域で活用されている新技術の泌尿器科領域の応用

Application to the urology of the new technology used in the gastroenterology

小川 眞広, 廣井 喜一, 大城 周, 南川 里抄, 古田 武慈, 杉山 尚子, 星野 京子, 矢嶋 真弓, 森山 光彦, 石田 秀明

Masahiro OGAWA, Yoshikazu HIROI, Syu OSHIRO, Risa MINAMIKAWA, Takeshige FURUTA, Naoko SUGIYAMA, Kyouko HOSHINO, Mayumi YAJIMA, Mitsuhiko MORIYAMA, Hideaki ISHIDA

1日本大学病院消化器内科, 2秋田赤十字病院超音波センター

1Gastroenterology, Nihon University hospital, 2Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【はじめに】
消化器領域は泌尿器科領域と非常に近い領域ともいえる.その理由としては消化器領域と臓器の位置が近く常に鑑別診断の時点で考慮する臓器であるからである.事実当学会の腹部超音波検診判定マニュアルにも腹部スクリーニング検診においても腎臓が対象臓器となっていることでもわかる.また,この中のカテゴリー分類の評価法に記載しておるとおり腎癌の評価は肝細胞癌の評価法と似ている部分があり消化器領域での種々の解析方法が本領域にも有用な部分は多いと考えられる.ここでは消化器領域で日常的に頻用される超音波検査の手法を挙げ泌尿器科用域の応用を期待する.ここでは最近のトレンドとして使用される項目をB-mode,カラードプラ,組織弾性イメージ,造影超音波検査の4点について最近の動向についてお話をする.
【B-mode】
今更B-modeと言われるかもしれないが超音波の基本となる部分である.泌尿器科領域では経直腸からの前立腺の観察が多く超音波内視鏡との類似点も多いと思うがここでは体外式超音波検査に的を絞る.装置の改良と共に画像処理技術も進化しておりコントラスト分解能も上昇している.さらに近年プローブの開発も各社目覚ましく浅部~深部までの詳細な評価部位が広がっている.さらに高周波プローブも有効で体表からでも約10cm以内で描出可能であれば詳細な評価が可能となっている.
【カラードプラ】
非造影の生理的な血流評価としてのカラードプラは近年飛躍的に血流感度が上昇している.血管の屈曲蛇行など微細血流の評価にはカラーのピクセルに依存しないB-modeでの血流表示法であるB-Flowがあったが,近年低流速のアーチファクトの軽減に成功したSuperb Micro-Vascular Imaging:SMIが高感度・高フレームレートでの血流表示が可能となっている.
【組織弾性イメージ】
組織弾性イメージングには,用手で振動を加え周囲との弾性の差を表示するstrain imagingと超音波の剪断波を送りその伝搬速度により組織弾性を評価するSure wave elastography(SWE)がある.前者はリアルタイム性があり深部評価まで可能であるがROI内の相対評価であり,後者は定量的な評価方法となる反面測定部位が限られる点と装置依存性が高くなる特徴がある.
【造影超音波検査】
現在わが国で使用でききる経静脈性造影剤は1種類であり肝・乳腺腫瘍の検査のみが保険適応となっている.本造影剤は,腎障害に対しても安心して使用できるため泌尿器科領域においては実は有用性が高いと思われる.過去に第1世代の造影剤(レボビスト)の時代にも有用性を述べていたが現在ではその時代と比べものにならない時間・空間分解能が得られるためドプラとは比較にならないほどの血流評価が可能となり,さらには灌流イメージも得られるため腎癌に対しての有用性は極めて高いと考えられる.
以上4点について消化器領域の観点から時間の許す限り症例を呈示し報告をしたい.特に泌尿器科領域においては,穿刺補助具としての使用法が目立つが,近年の装置の進歩と共に我々の目から見ても同領域においても診療に役立つ機能は多いと考えられるため今後の診療に役立つ事ができれば幸いである.