Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 泌尿器科
シンポジウム 泌尿器科 前立腺癌治療の超音波ガイダンス

(S382)

永久挿入密封小線源療法における超音波ガイダンス

Ultrasound guidance for prostate interstitial permanent brachytherapy

石山 博條

Hiromichi ISHIYAMA

北里大学医学部放射線科学(放射線腫瘍学)

Department of Radiology and Radiation Oncology, Kitasato University school of medicine

キーワード :

前立腺癌の永久挿入密封小線源療法(Seed療法)における経直腸超音波(TRUS)は,治療の質を担保するための最も重要な装置といえる.ターゲットである前立腺や直腸・尿道といった正常組織の輪郭はすべてTRUS画像をもとにしているし,術中の前立腺の浮腫や変形,血腫による偏移や挿入した線源の動きまで,リアルタイムなモニタリングもTRUSに依存している.画質も時代とともに改善されてきており,エラストグラフィーを使用した病巣の検出や,ドップラーを使用した血流の評価などもseed療法を施行するにあたって有用な情報になりえる.
一方で,TRUSには構造的な欠点もある.Seed療法では通常,横断像を使用して治療計画を立案し,線源を挿入するときには矢状断像を使用してモニタリングしている.しかし横断像と矢状断像で前立腺の輪郭に数ミリの差があることが前向き研究で判明している.通常は横断像で数ミリ小さく描出されるが,これは直腸内でプローブが頭尾方向に移動しながら画像取得を行うことが主な原因と考えられる.Seed療法では非常に急峻な線量勾配が使用されるためミリ単位の誤差が治療に大きく影響する可能性がある.矢状断像のみで治療計画から術中モニタリングまですべて行えるソフトウェアも開発されており,次世代のseed療法では横断像は使用しなくなるのかもしれない.
もうひとつTRUSの欠点として線源の描出能が低い点があげられる.Seed療法を行う際にもっとも重要な情報は解剖学的構造と線源の配置である.この2つの情報を正確に得ることができてはじめて正確な線量分布が把握できる.解剖学的構造の描出に関しては,TRUSはすぐれた性能を持っている.しかし線源の位置に関してTRUSはまったくの不得手である.この欠点を補う目的で我々は術中CTを使用したハイブリット型治療計画法を開発中である.患者が手術台の上で砕石位をとりプローブが挿入されている状態でCT撮像が可能なため,線源の位置と解剖学的構造が同時に正確に把握できる.これまでは見過ごされていたcold spotに線源をその場で追加できるため,線量分布の改善が確実に得られる.
前立腺癌のseed療法における超音波ガイダンスはいまだ発展途上にあり,今後さらに進歩していくものと考える.