Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 脳神経
シンポジウム 脳神経 超音波による頸動脈病変の標準的評価法2016:経緯と臨床への応用 Standard method for ultrasound evaluation of carotid artery lesions 2016: Process and clinical application

(S373)

狭窄評価

Evaluation of stenosis

長束 一行

Kazuyuki NAGATSUKA

国立循環器病研究センター臨床検査部

Clinical laboratory, National Cerebral and Cardiovascular Center

キーワード :

日本調音波医学会と脳神経超音波学会が合同で「超音波による頸動脈病変の標準的評価法」を作成中で,2017年中には公表予定である.現在はパブメドの応募も終了し,最終調整の段階となっている.この中での頸動脈エコーによる狭窄の部分の考えからについて発表する.頸動脈エコー検査での狭窄度の評価法のゴールドスタンダードは,狭窄直後の収縮期最高血流速度からの推測値である.その基準はいろいろ報告されているが,日本ではこれまで200cm/sec以上あればNASCET70%以上の狭窄が存在するという基準が多く採用されてきた.またNASCET50%以上の狭窄の基準は150cm/secが多かった.しかし国際的にみると,NASCET70%狭窄は230cm/secが多く,50%狭窄は130cm/secが多い.将来国際的な比較を行っていくことを考えると,欧米の基準に合わせる方がいいと思われるが,これまでの基準を急に変更すると混乱が起こる可能性もあるので,今回の改訂では収縮期最高血流速度が200-230cm/sec以上の時NASCET70%以上の狭窄が疑われるというように巾を持たせ,将来的には230cm/secに収束を図っていきたいと考えている.血流速度の計測法にも注意点を記載し,ドプラ入射角補正は60度以下で可能な範囲で小さくすることを推奨している.また狭窄のパラメーターとして,収縮期最高血流速度のみではなく,欧米ではよく用いられている総頸動脈の収縮期血流速度との比なども参考にすることを提案している.日本では面積狭窄率がよく用いられているが,治療方針を決めるうえでエビデンスのないことを明記し,内腔が不整形の場合に用いてもいいとしている.今後集まったパブコメを考慮して,最終案を2017年内に公表する予定である.