Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
シンポジウム 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 耳鼻咽喉科・頭頸部超音波診断の普及と展望

(S367)

頭頸部癌の頸部リンパ節に対する超音波での推定体積と実測体積についての検討

Comparison between the volume of lymph node measured by ultrasonography and actual volume of lymph node for head and neck carcinoma

西尾 直樹, 藤本 保志, 平松 真理子, 都築 秀典, 向山 宣昭, 曾根 三千彦

Naoki NISHIO, Yasushi FUJIMOTO, Mariko HIRAMATSU, Hidenori TSUZUKI, Nobuaki MUKOYAMA, Michihiko SONE

名古屋大学大学院医学系研究科頭頸部・感覚器外科学耳鼻咽喉科

Department of Otorhinolaryngology, Nagoya University Graduate School of Medicine

キーワード :

(背景)頭頸部癌治療において頸部リンパ節転移の有無は重要な予後予測因子であり,治療前の正確な診断が必要となる.本研究では頭頸部癌患者の頸部リンパ節に対して,術前に超音波検査により推定体積を計測するとともに,手術において摘出した標的リンパ節の実測体積を計測し,比較検討することにより,転移リンパ節に対してリンパ節の体積がどのような影響をあたえるかを目的とした.
(対象と方法)治療歴のない頭頸部扁平上皮癌患者で頸部郭清術を施行した患者を対象とした.2012年2月から2017年1月までの5年間に当施設において術前に超音波検査を施行し,頸部郭清術を行った28症例,53個のリンパ節を検討した.リンパ節の体積を楕円体と近似して,V=π/6×abc(a=長径,b=短径,c=厚み)の計算式より決定した.目的変数に病理診断,説明変数に超音波での推定体積と実測体積として,頸部リンパ節転移に関してROC解析を行い,感度,特異度,カットオフ値,area under the curve(以下AUC)を算出した.カットオフ値の決定にはYouden indexを用いた.また超音波での推定体積と実測体積についての差を検討するために,対応のあるt検定にて比較した.統計ソフトはJMP Ver.10(SAS Institute, Cary, NC, USA)を使用した.
(結果)今回の超音波での頸部リンパ節転移診断においては,感度,特異度,陽性適中率,陰性適中率,正診率はそれぞれ,90%,72%,68%,92%,79%であった.ROC解析の結果は,超音波での推定体積ではカットオフ値806mm3,AUC 0.91,感度81%,特異度88%であり,実測体積ではカットオフ値660mm3,AUC 0.90,感度90%,特異度72%であった.超音波での推定体積と実測体積においては,統計学的には有意な違いは認めなかったが,超音波での推定体積のほうが大きい傾向であった(p値=0.098).
(結論)頭頸部癌における頸部リンパ節転移に対して,体積を測定することでさらに診断の精度が向上できる可能性が示唆された.