Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 甲状腺(JABTS)
ワークショップ 甲状腺 新甲状腺結節超音波診断基準策定のための血流評価多施設共同研究-結節性病変の血流評価の標準化-

(S361)

新甲状腺結節超音波診断基準策定におけるエラストグラフィの位置づけ

Positioning of elastography in formulating thyroid nodule ultrasonic diagnostic criteria with blood flow evaluation

岩舘 学, 鈴木 聡, 大河内 千代, 松本 佳子, 水沼 廣, 鈴木 悟, 伊藤 祐子, 志村 浩己, 鈴木 眞一

Manabu IWADATE, Satoshi SUZUKI, Chiyo OKOUCHI, Yoshiko MATSUMOTO, Hiroshi MIZUNUMA, Satoru SUZUKI, Yuko ITO, Hiroki SHIMURA, Shinichi SUZUKI

1福島県立医科大学甲状腺内分泌外科, 2福島県立医科大学甲状腺内分泌内科, 3福島県立医科大学臨床検査医学

1Department of Thyroid and Endocrinology Surgery, Fukushima Medical University, 2Department of Thyroid and Endocrinology, Fukushima Medical University, 3Department of Laboratory Medicine, Fukushima Medical University

キーワード :

【はじめに】
甲状腺結節における超音波診断は基本的にBモード所見によりおこなわれ,超音波ドプラ法や超音波エラストグラフィはBモードによる画像診断の補助としての役割を担っている.今回,甲状腺結節の術前診断に血流評価を加えるにあたり,組織弾性評価法である超音波エラストグラフィがどのようにかかわっているかを検討した.
【対象と方法】
手術により病理診断が確定した良性91例および悪性80例を対象とした.良性のうち自律性機能性甲状腺結節(AFTN)は除外した.超音波ドプラ法は血流分布を辺縁に認めるものを辺縁型,結節内部に認めるものを内部型,内部両者に認めるものを混合型とした.さらに,血流の多寡を血流Gradeとしてほとんど認めないものをGrade1,血流の豊富なものをGrade3とし,その中間をGrade2とした.超音波エラストグラフィのGrade分類は,ほぼ全体がひずみを認めるものをGrade1,一部にひずみを認めないものをGrade2,一部にひずみを認めるものをGrade3,ほぼ全体にひずみがないものをGrade4とした.また,Strain Ratioは腫瘍のStrain/胸鎖乳突筋のStrainとして算出した.
【結果】
大部分の甲状腺乳頭癌はBモード所見により診断可能であり,血流Grade1の結節でもそのほとんどがエラストグラフィGrade3あるいは4であった.濾胞癌ではBモード診断基準では良悪性の境界であるが,超音波ドプラ法では全例内部型,血流Grade2であり,超音波エラストGradeは3あるいは4,Strain Ratioが0.4以下となり悪性疑いの根拠となった.
【結語】
新甲状腺結節超音波診断基準策定では現行の甲状腺結節超音波診断基準に則り,Bモードでの診断をおこない超音波ドプラ診断を組み合わせた有用性を評価していくが,今後は超音波エラストグラフィ所見の組み合わせについても考慮すべきと考えられた.