Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 甲状腺(JABTS)
シンポジウム 甲状腺2 表在リンパ節の超音波診断

(S354)

表在リンパ節に関する超音波用語の標準化と報告書記載法

Standardization of ultrasonic terminology and reports in superficial lymph nodes

尾本 きよか

Kiyoka OMOTO

自治医科大学附属さいたま医療センター総合医学1(臨床検査部)

Laboratory Medicine, Jichi Medical University, Saitama Medical Center

キーワード :

【1.リンパ節の解剖と超音波像】
リンパ節は異物の侵入を防ぐ重要な臓器であり,組織に侵入した抗原はまず毛細リンパ管に入り,リンパ流にのって末梢からリンパ本管や胸管へと向かうが,これらのリンパ管やリンパ流はBモード画像でとらえることは困難である.一方,リンパ管の途中にありリンパ液とともに流れてきた抗原を捕捉し,抗体産生や細胞性免疫などの免疫応答を担うリンパ節lymph node(LN)自体は超音波で楕円形,ソラマメ状の低エコー腫瘤として観察することは可能で,腹腔内だけでなく頸部,腋窩,鼡径部などの皮下組織内に見出することができる.リンパ液の流れは,まず輸入リンパ管を経由してリンパ節の辺縁洞に入り,さらに皮質洞,髄洞を経て輸出リンパ管から流出していく.さらにこのリンパ節門には輸入動静脈が出入りしている.このリンパ節門付近に高エコー域を観察することが多いがこれは(周囲と連続した)脂肪組織を主体とした血管,リンパ組織,などの複合体と考えられる.カラードプラを用いることにより血管の存在・走行を確認できる.
【2.使用する超音波装置】
・高周波(7.5MHz以上)のリニア型探触子を使用する.
・体表の浅いリンパ節を観察する際は,音響
カプラを装着したり,超音波スタンドオフ(音響結合用高分子ゲルパッド)を挟んだりする.
【3.報告書の基本的記載事項】
部位:頸部,腋窩,鼡径部など
名称:例)オトガイ下,顎下,深頸リンパ節など
大きさ:横径×縦径[mm]
形状:楕円形,円形,類円形
辺縁:整・不整
エコーレベル(皮質部):低エコー,等エコー,高エコー
リンパ節門の高エコー域:あり,変形,なし
分布の対称性,左右差
血流:分布,走行,多寡,抵抗係数(RI),拍動係数(PI)
*付随所見:点状高エコー(石灰化),無エコー域(嚢胞変性,
膿瘍)
*超音波的理学所見
硬さ:軟,弾性硬,硬,(組織弾性診断)
可動性・周囲組織への癒着
リンパ節の癒合:数珠状
圧痛の有無