Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 甲状腺(JABTS)
シンポジウム 甲状腺1 小児甲状腺の超音波診断

(S348)

小児における甲状腺結節・がんの臨床所見

Clinical findings of thyroid nodules and cancer in childhood

宮川 めぐみ

Megumi MIYAKAWA

虎の門病院内分泌代謝科

Endocrine Center, Toranomon Hospital

キーワード :

小児甲状腺癌は成人と同様に乳頭癌が90%を占めるが,成人とは異なりびまん性硬化型乳頭癌があるのが特徴であり,腫瘤として触れず超音波検査で初めて診断可能となる場合もある.また被膜外浸潤(20~60%)やリンパ節転移(40~60%)も多く,診断時にすでに肺転移を起こしている例も少なくない(5~30%).また再発例も小児の方が高い傾向がある.しかし小児分化型甲状腺癌の長期予後は成人と同様良好な経過をたどることが報告されている.小児での甲状腺結節・がんの診断ではまず触診所見が挙げられる.触診単独での悪性腫瘍の発見率は,超音波検査に比べ明らかに低率であるが,触知可能な結節が硬く周囲組織(前頸筋や気管など)と固定している場合や頸部リンパ節の腫大を認めた場合は強く悪性を疑う.リンパ節腫大は,多発で大きく,硬く,周囲との固定などがみられればさらに強く悪性を疑う.触診以外の理学所見では,声帯麻痺(反回神経麻痺)による嗄声を認めた場合にも悪性を強く疑う.また多発性結節の場合は良性の可能性が高いが,一部に癌を合併している場合があり注意が必要である.びまん性腫大は慢性甲状腺炎やバセドウ病で認めるが,良性結節あるいは癌の合併もときに認められる.以上,このような悪性の可能性を高める理学所見を認めた場合には,超音波検査や細胞診での精査を進めていく.