Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 乳腺(JABTS)
ワークショップ 乳腺 教育委員会 極めるシリーズ「Her2陽性乳癌」

(S337)

Her2陽性乳癌に対する治療戦略

Treatment strategy for Her2-positive breast cancer

渡辺 隆紀

Takanori WATANABE

国立病院機構仙台医療センター乳腺外科

Breast Surgery, National Hospital Organization Sendai Medical Center

キーワード :

Her2陽性乳癌は乳癌の約20%であるが,悪性度が高く再発しやすい乳癌として知られていた.しかし,1998年に分子標的薬としてのハーセプチン(トラスツズマブ)が登場して以来,格段に治療成績が向上した.さらに2007年にタイケルブ(ラパチニブ),2012年にパージェタ(ペルツズマブ),2013年にカドサイラ(T-DM1)が登場し,治療法として多くの選択肢が存在するようになっている.Her2陽性乳癌に対しハーセプチンを含む術前化学療法を行った場合,40-50%という高率な病理学的完全奏功(pathological complete response)が得られるため,Her2陽性かどうかは治療上非常に重要なポイントである.本邦では術前後の補助薬物療法としてハーセプチンとタキサンを併用するのが一般的であるが,海外ではこれらに加えてパージェタも併用することが多く,より高いpCR率が期待できる.進行再発乳癌では,タイケルブ,カドサイラも使用できる.カドサイラはハーセプチンにエムタンシン(DM-1)という抗癌剤を結合させた薬剤であり,Her2陽性の癌細胞だけに抗癌剤を送りこむので比較的副作用が軽度で使用しやすい薬剤である.