Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 乳腺(JABTS)
パネルディスカッション 乳腺2 特別企画 女性のライフサイクルと乳がん~啓発活動はどうあるべきか~

(S335)

学校教育の中での乳がん

Breast cancer discusssed in healthcare education at school

齊藤 光江

Mitsue SAITO

順天堂大学乳腺科

Breast Oncology, Juntendo University

キーワード :

昨今,学校教育に「いのちの授業」などと題して,がんについて知る機会が設けられるようになってきた.この意義は,高齢化社会を迎え,今や二人に一人が患う国民病のごときがんについて,身内が患う機会に遭遇しない方が稀になった現状を,老いも若きも理解し,受け入れ,そして対処していくことが極めて重要になってきたということと,がんのように緩徐に進行する病に向き合うには,命の意味を考えさせられ,生きがいを再認識し,人と人との関係を問い直すという,人類に与えられた命題を解く必要があるということ,またこれまで保健教育において軽視もしくはタブー視されてきたかのような難治性疾患の話題を,健康管理や早期発見,啓発という側面から議論することへの試みに対する受容が進んできたということを示していると考えられる.
本セッションにおいては,一般の学校教育のみならず,医学部におけるがん教育の例も挙げ,現状から考えられる今後のがん教育の在り方について検討してみたい.とくに演者がこの2年ほど試みている臨床実習における終末期患者に関するsmall group discussionでは,未来のがん診療を担う若者たちが,どのような感性で患者と接し,何を考え,どんな学びをし,互いに議論することでどのような効果を上げているかを知ることができる.このような試みは,これからの医療の方向性を打ち出し,医療者と患者や家族の対話が,患者サイドからみた医療の質の真の向上に役立つものと考えている.
内容は,様々な癌腫を含むが,特に乳がんを中心に述べてみたい.