Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 乳腺(JABTS)
パネルディスカッション 乳腺1 超音波検査における特異度を上げるには

(S331)

乳房超音波検診における特異度を上げるための基礎知識

Basic knowledge to increase specificity in breast ultrasound screening

坂 佳奈子

Kanako BAN

公益財団法人東京都予防医学協会がん検診・診断部

Department of Cancer Detection and Diagnosis, Tokyo Health Service Association

キーワード :

【目的】
がん検診を行うにあたっては検診の精度管理が重要である.2009年にUS Preventive Task Forceの40歳代のマンモグラフィ検診の推奨グレードがBからCに変更されて以来,がん検診には利益と不利益があり,両者のバランスのとれた検診が必要であると言われている.がん検診の利益は死亡率減少効果である.では不利益は何かというと部位別,検査法別に異なる部分もあるが,主に「偽陰性」,「偽陽性」過剰診断」である.「偽陰性」が多いと乳がんが適切に発見されないことを指し,「感度が低い」検診となる.それと反対に「偽陽性」とは,乳がんではないが乳がんの可能性があるされ,不必要な精密検査を受けることである.偽陽性が多い「特異度の低い」検診によって,受診者の精神的,経済的,肉体的負担が増加し,要精検とされた中での真のがんの割合である陽性反応適中度も低下させることとなる.放置しても,致死的とはならない乳がんを発見する「過剰診断」については別の機会に議論することとして,今回は乳がん検診における特異度を上げる,すなわち不要な精密検査を減らすために役立つ基礎知識について発表する.
【対象と方法】
当施設で経験した乳房超音波検診での画像より最終的に良性と判定し,不要な精密検査を回避できると思われる症例を提示する.
【結果・考察】
乳がん超音波検診において主に要精検率を上昇させている原因は,典型でない「濃縮嚢胞」「線維腺腫」と「混合性腫瘍」「低エコー域」であると考える.この3者は乳房超音波検診の現場でよく遭遇し,判定に迷うことも多いものである.今回は典型像のおさらいと共に検診現場では装置や時間的な制約もあるため,Bモードとカラードプラの画像を中心にそのポイントについて解説したい.
【結論】
濃縮嚢胞,線維腺腫,混合性腫瘍,低エコー域における診断精度を上げることが検診における特異度上昇の重要なポイントであると考える.