早渕 康信

Yasunobu HAYABUCHI

徳島大学大学院医歯薬学研究部小児科

Department of Pediatrics, Institute of Health Biosciences, Tokushima University

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【はじめに】
新生児期の心エコー検査では先天性心疾患の診断が最も重要な目的になる．先天性心疾患は新生児100人に1人認められる先天異常であり，遭遇機会は比較的多い．重症な先天性心疾患の多くは出生による胎児循環から新生児循環への移行に伴い，生後早期に発症し，急速に進行する．心エコー図検査は新生児心疾患の診断を確定するばかりでなく，血行動態の評価，緊急的なカテーテル治療や手術治療の適応の有無と時期の判断，治療中のガイドやモニター，治療効果の判定などに必須の検査法である．
【胎児循環から新生児循環への移行】
胎盤でのガス交換の代わりに肺での呼吸が開始される．肺血管抵抗が著明に低下し，卵円孔の閉鎖，動脈管の閉鎖，静脈管の閉鎖が認められる．胎児循環とは異なる新生児循環の確立によって，症状が惹起されることが多いため，胎児循環と新生児循環との相違，変化を念頭において検査・診断を行っていくことが大切である．
【診断とポイント】
①非チアノーゼ性先天性心疾患・チアノーゼ性先天性心疾患の分類．②動脈管依存性体循環：左心低形成症候群，大動脈縮窄，大動脈弓離断，③動脈管依存性肺循環：ファロー四徴症，三尖弁閉鎖症，純型肺動脈閉鎖，④完全大血管転位症，⑤総肺静脈還流異常などを鑑別していくこととなる．
【心機能の評価】
新生児・乳児における心機能の評価は，1：体格・体重の変化が大きい時期であること．2：胎児循環から新生児循環へ移行している時期であること．3：前負荷・後負荷が月齢，年齢，手術前後で変化すること．4：心拍数が比較的早く，解析が困難であること．などのために継続的評価が難しい．左右心室とも，MAPSE, TAPSE, Tissue Doppler, Strain imagingなどを用いた収縮能・拡張能評価があるが，LongitudinalかCircumferentialか3-dimensionalか，いずれで評価するのか各病態に応じて検討することが肝要である．
【参考文献】
1）Hayabuchi Y, et al. Pulmonary annular motion velocity assessed using Doppler tissue imaging. - Novel echocardiographic evaluation of right ventricular outflow tract function. Circ J 2016;80（1）:168-76.
2）Hayabuchi Y, et al. Right ventricular myocardial deformation patterns in children with congenital heart disease associated with right ventricular pressure overload. Eur Heart J Cardiovasc Imaging 2015;16（8）:890-9.