英文誌(2004-)
特別プログラム 産婦人科
パネルディスカッション 産婦人科1 生殖医療における超音波の意義と再評価
(S309)
生殖医療における子宮腔内病変の意義
The importance of intrauterine pathology in reproductive medicine
辻 勲
Isao TSUJI
IVF大阪クリニック生殖医療
Reproductive Medicine, IVF Osaka Clinic
キーワード :
子宮腔内に器質的な病変を有する粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープは,不妊の原因となり妊孕性を低下させる.その機序として,子宮腔内病変は,子宮内腔の偏位や子宮内膜の受容能低下によって,着床を障害するといわれている.しかし,子宮腔内病変の存在は,不妊に対する絶対的な因子ではないため,手術の適応やその介入時期については一定の見解が得られていない.よって,手術の適応については,年齢や既往妊娠の有無などの症例背景と病変の大きさや子宮腔内への突出程度などの病変自体の特徴をそれぞれ考慮し,判断しなければならない.子宮鏡下手術は子宮腔内病変に対して一般的に行われ,妊孕性を改善することが報告されている.手術の完遂度は術後の妊孕性に大きく影響するため,子宮腔内病変に対する術前評価は重要である.子宮腔内を評価する方法のなかでも,子宮鏡とソノヒステログラフィーの診断精度は高い.とりわけソノヒステログラフィーは,粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープの子宮内腔への突出程度の判定に有用であり,子宮鏡下手術プランニングに重要な情報を提供してくれる.本講演では,生殖医療における子宮腔内病変(主に子宮筋腫)の対応について概説する.