Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
シンポジウム 産婦人科2 国際産婦人科超音波学会(ISUOG)診療ガイドラインについて考える

(S303)

ISUOGガイドライン-First-trimester fetal ultrasound scan

ISUOG practice Guideline: First-trimester fetal ultrasound scan

長谷川 潤一

Junichi HASEGAWA

聖マリアンナ医科大学産婦人科学

Obstetrics and Gynecology, St. Marianna University School of Medicine

キーワード :

産科診療や妊婦健診のなかでの超音波検査の役割ははかりしれないものである.胎児の形態の評価は,本邦でも広く妊娠中期に行われている.昨今の超音波機器の解像度の向上にともなって,より早い時期からの評価が可能となり,前倒しに検査が行われる傾向にある.欧米ではとくに,first trimester scanとして胎児の形態評価だけでなく,染色体異常のスクリーニングとしての超音波検査が行われている.しかし,first trimesterの超音波検査に際しては,診断的なlimitationや倫理的な問題が存在する場合があるため,安易に行われるべきでないと考えられている.そのため,ISUOGもその様な問題に対してのステートメントとしてfirst trimester fetal ultrasound scanのガイドラインを2013年に発刊した.特に,検査前には本検査のメリットだけでなく限界や問題などについてのカウンセリングを要すること,施行に当たっては,周産期の超音波検査に十分な知識と経験を有したものが行うことと強調している.また,超音波医学的にも胎児への安全性の面で,ALARA(As Low As Reasonably Achievable)の原則にのっとること,被検者への不安のみを助長させるような検査をしない体制で行うことなども述べられている.本講演では,方法論的なfirst trimester fetal ultrasound scanを解説するだけでなく,本検査の位置づけや,我々が考えなければならないことを読み解いて論じる.