Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 産婦人科
シンポジウム 産婦人科1 新しい技術の産婦人科領域への導入

(S300)

share wave elastographyを用いた妊娠の進行に伴う正常子宮頸部の硬度の変化の検討

Gestational age-related changes in uterine cervical elasticity in normal pregnancy at 14-37 weeks’ gestation evaluated using shear-wave elastography

堀之内 崇士, 武藤 愛, 吉里 俊幸, 井上 茂, 品川 貴章, 上妻 友隆, 堀 大蔵, 牛嶋 公生

Takashi HORINOUCHI, Megumi MUTOU, Toshiyuki YOSHIZATO, Shigeru INOUE, Takaaki SHINAGAWA, Yutaka KOUDUMA, Daizou HORI, Kimio USHIJIMA

久留米大学病院総合周産期母子医療センター産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Kurume University Hospital, Maternal and Perinatal Medical Center

キーワード :

【緒言】
share wave elastography(SWE)では音響加圧によって組織に生じる剪断弾波の伝搬速度を検出することで,当該組織の硬度を定量的に評価することができる.本研究ではSWEを用い,妊娠の進行に伴って正常子宮頸部の硬度がどのように変化するかを明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
2016年7-12月までに当センターで妊娠管理を行った妊娠14-37週の正常単胎妊婦212例を対象とした.経腟走査により子宮頸部矢状断を描出し,内/外子宮口の前唇(A),後唇(P),頸管腺領域(CGA)の計6か所で,share wave speed(SWS)を測定した.使用した超音波装置はToshiba社製Aplio 500,探触子はPVT-781VTである.SWSの測定領域径は5 mmに設定した.測定は各計測部位毎に3回行い,その平均を代表値とした.以下の3つについて検討した.1)各計測部位におけるSWSの妊娠の進行に伴う変化,2)観察期間を4週間毎に分け,各妊娠期間における内子宮口A, P, CGA間,外子宮口A, P, CGA間のSWSの比較,3)各妊娠期間におけるA, P, CGAの内/外子宮口間のSWSの比較.統計学的解析には,直線および折れ線回帰分析,Kruskal-Wallis検定およびWilcoxon検定を用い,有意水準はP<0.05とした.
本研究は,久留米大学病院倫理委員会の承認を受け,対象患者から同意を得た.
【結果】
1)SWSはすべての部位で妊娠の進行とともに低下した.内子宮口のPは,妊娠22週に変極点を有する折れ線回帰を示した(図1).内子宮口のA, CGAおよび外子宮口のA, P, CGAは,直線回帰を示した.
2)内子宮口のPのSWSは全妊娠期間において,A, CGAより高値であった(P/A/CGA: 14-17週,4.07/3.14/2.90 m/sec, 18-21週,3.23/2.59/2.79 m/sec, 22-25週.3.05/2.45/2.56 m/sec, 26-29週,2.71/2.42/2.27 m/sec, 30-33週,2.47/2.10/2.09 m/sec, 34-37週,2.32/2.03/2.05 m/sec)(図2).外子宮口のSWSは一定の傾向はなかった.
3)AおよびPのSWSは,妊娠14-17週から26-29週では,内子宮口では外子宮口より高値であったが,妊娠30-33週以降では差はなかった.CGAのSWSは妊娠14-17週から22-25週では,内子宮口では外子宮口より高値であったが,妊娠26-29週以降では差はなかった.
【結論】
内子宮口後唇は,1)妊娠14-37週において内子宮口前唇,頸管腺領域より硬いこと,2)妊娠22週を境に硬さに変化を来すこと,3)妊娠30週以降では,外子宮口後唇との間の硬さに差がなくなることが分かった.