英文誌(2004-)
特別プログラム 呼吸器
シンポジウム 呼吸器 呼吸器超音波のこれまでとこれから
(S292)
急性期に役立つ!肺エコー
Lung Ultrasound in Acute Medicine
鈴木 昭広
Akihiro SUZUKI
東京慈恵会医科大学麻酔科学講座
Anesthesiology, Jikei University School of Medicine
キーワード :
呼吸器超音波は本邦で古くから行われてきたが,主に呼吸器内科の範疇で利用され,急性期医療での応用はフランスなど欧米での知見が蓄積されてきた.
演者は救急医療やドクターヘリ活動を行ううえで,外傷初期診療ガイドラインで行われるFAST:Focused Assessment with Sonography for Traumaにヒントを得て,迅速かつ携帯可能な診断モダリティとしての超音波の有用性に着目した.気道・呼吸・循環・中枢神経異常などを超音波で評価できれば急性期医療では診断に至らずとも病態把握に利用でき,診療の方向性を大きく収束できることから,これらの手法をABCD sonographyとして確立してきた.
なかでも急性期の肺エコーは低酸素血症や呼吸不全の鑑別に際し,気胸・胸水・間質症候群(注:ここで用いられる間質の定義は呼吸器領域,病理・放射線領域のそれと異なるが,海外でinterstitial syndromeと呼ばれているものくぉ直訳したもので,今後はsonographic interstitial syndromeという名前に統一される見込み)などの診断・鑑別に利用できる.
本シンポジウムでは,あてて見るだけの気軽さで,呼吸に問題を抱える患者を迅速に診断,あるいは除外診断するための急性期肺エコーを紹介する予定である.