Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器横断領域2 「温故知新」の超音波所見に挑む~サインやアーチファクトの検証~

(S285)

門脈ガス血症における"Flaming portal vein"の検証と機序

Verification and mechanism of "Flaming portal vein" in portal gas

伊集院 裕康, 石田 秀明, 古賀 哲也, 厚地 伸彦, 青木 めぐみ, 長沼 裕子, 神山 拓郎

Hiroyasu IJUIN, Hideaki ISHIDA, Tetuya KOGA, Nobuhiko ATUTI, Megumi AOKI, Yuuko NAGANUMA, Takurou KAMIYAMA

1天陽会中央病院内科, 2秋田赤十字病院超音波センター, 3市立横手病院消化器科, 4天陽会中央病院放射線科, 5天陽会中央病院検査部

1Internal Medicine, Tenyoukai Chuo Hospital, 2Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 3Internal Medicine, Yokote Municipal Hospital, 4Radiology, Tenyoukai Chuo Hospital, 5Clinical Laboratory, Tenyoukai Chuo Hospital

キーワード :

【目的】
門脈ガス血症は比較的稀であるが腸管壊死をはじめ,虚血性腸炎,急性腸炎,腸閉塞等の重篤な疾患により引き起こされることがあり決して見逃さないことが大切である.我々は以前門脈ガス血症のカラードプラサインであるFlaming portal veinを発表した.その後門脈ガス血症を20例経験しその有用性を確認できたので報告する.またカラードプラでFlaming portal veinを呈する機序の参考となると思われる気腫性膀胱炎のカラードプラ所見も提示する.
【対象と方法】
2005年11月から2015年12月の間当院で経験した門脈ガス血症20例(男性11人 女性9人年齢56-94平均76.4歳).腸管壊死もしくはNOMIは11例 イレウス 2例 ウイルス性腸炎1例 胆嚢炎1例原因不明が5例であった.CTおよび腹部エコー FFT解析カラードプラに診断した.超音波診断装置はGE社製logiq 7 LogiqS8 東芝社製AplioSSA-700Aを使用した.
【結果】
門脈ガスは全例で腹部エコー カラードプラ FFT解析にて観察できた.一方CTで門脈ガスが指摘出来なかったのは7例あった.また大量の門脈ガスにて肝内の門脈の描出困難な症例や もともと門脈描出困難な症例においてもカラードプラにて火焔状所見をえることができた.
【考案】
従来 門脈ガス血症の腹部エコー所見は肝内の粟痛状 斑状高エコーおよび門脈内の順行性の点状エコーの流れと気泡に特有なFFT解析にて振幅が強く機械的なドプラ音を描出することとされる.それらは 門脈が良好に描出されることが必要である.カラードプラでは良好に描出出来ない症例であってもFlaming portal veinを描出可能であり有用であった.また 気腫性膀胱炎では浮かび上がる一粒の気泡がカラードプラでは幅広く帯を引くとして描出された.門脈ガス血症では複数の気泡がアトランダムに門脈内を流れることによりカラードプラ上門脈自体が火焔状のような所見を呈するものであった.
【参考文献】
Ijuin H, Tokitou D,Atsuchi Y, etal. Flaming portal vein as a new color Doppler sign of portal gas: report of two cases. J Med Ultrasonics; 2008;35:119-23