西村 貴士, 東浦 晶子, 中野 智景, 青木 智子, 會澤 信弘, 池田 直人, 廣田 誠一, 藤元 治朗, 西口 修平, 飯島 尋子

Takashi NISHIMURA, Akiko HIGASHIURA, Chikage NAKANO, Tomoko AOKI, Nobuhiro AIZAWA, Naoto IKEDA, Seiichi HIROTA, Jirou HUJIMOTO, Shuhei NISHIGUCHI, Hiroko IIJIMA

¹兵庫医科大学超音波センター, ²兵庫医科大学内科・肝胆膵科, ³公立八鹿病院内科, ⁴兵庫医科大学肝胆膵外科, ⁵兵庫医科大学病院病理部

¹Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, ²Dpartment of internal medicine/Dvision of hepatobiliary and pancreatic disease, Hyogo College of Medicine, ³Department of Internal medicine, Yoka Hospital, ⁴Department of Surgery, Hyogo College of Medicine, ⁵Department of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【目的】
EOB-MRI肝細胞相低信号結節について造影超音波検査（以下CEUS）による診断能について検討した．
【対象と方法】
2007年1月から2016年5月までに造影超音波検査（以下CEUS）を施行した1390結節のうち，EOB-MRI検査を施行し，肝細胞相低信号結節であった384結節を対象とし，CEUSによる血流診断能について検討した．そのうち167結節については組織学的診断についても検討した．
【結果】
EOB-MRI動脈相では多血371結節，非多血13結節であり，非多血結節についてCEUS動脈優位相ではhypervascular　10結節，isovascular 1結節，hypovascular 2結節であり，EOB-MRIとCEUSを組み合わせると381結節（99.2％）が多血と診断可能であった．病理学的診断に診断した167結節の内訳は再生結節（以下RN）と異型結節（以下DN）が13結節，肝細胞癌（以下HCC）137結節（分化度；well 36結節，well-mod;2結節，moderate;89結節，mod-por;2結節，por;3結節，不明;5結節）であった．HCC137結節のEOB-MRI動脈相は高信号106結節，等信号25結節，低信号6結節であったが，低信号6結節のうちCEUS動脈優位相低信号は1結節のみで高分化肝癌であり，4結節はCEUS動脈優位相hypervascular，Kupffer相hypointensity～defectとHCCと診断可能であった．DNは9結節認め，EOB-MRI動脈相高信号結節は1結節のみであった．CEUS動脈優位相でも1結節のみhypervascularであり，ほか8結節はhypovascularでKupffer相でも7結節はisointensityであることから，EOB-MRI肝細胞相が低信号であっても動脈相非多血結節23結節（23/167;13.7％）にDNが含まれているため，生検による診断が必要である．DNのうち4結節は経過観察中であり（6-29ヶ月），3結節は経過観察中に増大傾向を示したためRFAを施行した．
【結語】
EOB-MRIとCEUSを組み合わせると多血診断能は非常に良好であった．またEOB-MRI肝細胞相低信号結節のうち，EOB-MRI動脈相あるいはCEUS動脈優位相で非多血である結節にDNが含まれているため生検診断を考慮すべきであり，血流や信号変化を認めた場合は早期肝細胞癌の可能性があるため，治療時期を適切に判断する必要がある．