Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器4 消化管 小腸疾患の超音波診断

(S273)

消化管急性腹症におけるFusion超音波の有用性

Usefulness of fusion ultrasonography to diagnose acute abdomen by gastrointestinal disease

鈴木 康秋, 小林 裕, 久野木 健仁, 芹川 真哉, 杉山 祥晃, 佐竹 秀美, 関野 益美, 泉谷 正和, 齊藤 なお, 松本 靖司

Yasuaki SUZUKI, Yuu KOBAYASHI, Takehito KUNOGI, Shinya SERIKAWA, Yoshiaki SUGIYAMA, Hidemi SATAKE, Masumi SEKINO, Masakazu IZUTANI, Nao SAITO, Yasushi MATUMOTO

1名寄市立総合病院消化器内科, 2名寄市立総合病院臨床検査科

1Gastroenterology, Nayoro City Genaral Hospital, 2Clinical laboratory, Nayoro City Genaral Hospital

キーワード :

【はじめに】
我々はこれまでCT fusion超音波による肝癌の診断の有用性について報告してきた.今回,消化管領域においてCT fusion超音波をおこない,診断に有用であった5症例を経験したので報告する.
【症例1:小腸アニサキス症】
60歳代・男性.刺身摂取後に腹痛を発症し,近医受診.イレウスの診断で当科に紹介.腹部CTにて,右下腹部に限局した回腸の浮腫性肥厚とその口側腸管の拡張及び腹水を認めた.小腸アニサキス症が考えられ,小腸のCT fusion超音波を施行.超音波でもCTの病変部に一致し,腸管の限局性浮腫像(corn sign)を認め,さらに管腔内に不規則な運動をするアニサキス虫体を同定し,確定診断に至った.
【症例2:癒着性イレウス】
60歳代・男性.刺身摂取後に腹痛を発症し,イレウスの診断で近医に入院.絶食・補液にて保存的加療をおこなうも改善せず,当科に転院となった.小腸アニサキス症と癒着性イレウスの鑑別のため小腸のCT fusion超音波を施行.症例1のようなcorn signは認めず,小腸アニサキス症は否定された.虫垂炎術後瘢痕からの走査にて,CTの腸管狭窄部に一致して,腹壁と癒着し腸管を狭窄している構造物を同定し,癒着性イレウスと診断した.イレウス管を挿入したが,改善せず手術を施行.CT fusion超音波で指摘された部位に癒着を認め剥離した.
【症例3:大腸魚骨穿通】
80歳代・女性.右側腹部痛にて当科受診.腹部CTにて上行結腸肝彎曲に線状の異物を認め,その近傍に膿瘍を形成していた.大腸のCT fusion超音波にて,針状異物の大腸穿通を同定し得た.緊急手術を施行し,魚骨の穿通が確認された.
【症例4:胆石イレウス・胆嚢十二指腸瘻】
80歳代・女性.腹痛,嘔吐で緊急入院.CTで回腸に径3cmの結石様の異物が陥頓し,以前に指摘された胆石が胆嚢内に無いため,胆石イレウスと診断.胃管留置により保存的に加療.翌日のCTでは胆石は回腸末端に移動したため,バウヒン弁での陥頓を危惧し,CT fusion超音波で回盲部を観察.上行結腸への移動を確認し,手術を回避できた.また,CT fusion超音波で胆嚢十二指腸瘻が疑われた.
【症例5:胃石イレウス】
70歳代・女性.1ヶ月前に上部内視鏡にて胃潰瘍,胃石を指摘.腹痛,嘔吐で緊急入院.CTにて回腸に含気所見を伴う糞便様異物を認め,口側小腸は拡張していた.胃内の胃石は消失しており,胃石イレウスと診断.イレウス管を留置したが改善せず,イレウス管造影で回腸に陰影欠損あり.CT fusion超音波にて回腸末端領域を確認後,通常超音波で回腸に異物陥頓を認め,手術を施行.小腸切開にて固形異物(柿胃石)を摘出した.
【結語】
急性腹症において超音波で全小腸を観察するのは困難であるが,CT fusion超音波ではターゲットを絞った観察が可能となるため診断に有用と考えられる.