Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器3 胆道 胆道疾患に対する超音波診断

(S269)

胆嚢隆起性病変の鑑別診断における,高音圧造影モードを用いた造影超音波検査の有用性

Utility of contrast enhanced ultrasonography using high mechanical index mode for diferencial diagnosis of gallblader polypoid lesion

合田 賢弘, 三輪 治生, 三箇 克幸, 入江 邦泰, 三浦 雄輝, 石井 寛裕, 杉森 一哉, 沼田 和司, 田中 克明, 前田 愼

Yoshihiro GOUDA, Haruo MIWA, Katuyuki SANGA, Kuniyasu IRIE, Yuki MIURA, Tomohiro ISHII, Kazuya SUGIMORI, Kazushi NUMATA, Katuaki TANAKA, Shin MAEDA

1横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター内科, 2横浜市立大学附属病院消化器内科

1The center of gastroenterology, Yokohama City University Medical Center, 2Gastroenterology, Yokohama City University

キーワード :

【背景】
胆嚢隆起性病変の鑑別において腹部超音波検査は重要なモダリティである.過去の報告では,B mode所見で10mm以上,広基性,充実性低エコーを呈する病変は癌・腺腫の可能性が高いとされているが,これらの所見では診断しえない病変もしばしば経験する.当施設では,以前より胆嚢隆起性病変の鑑別診断に,高い血流検出感度を有する高音圧撮像モードを用いた造影超音波検査を用いてきた.
【目的】
高音圧造影モードを用いた造影超音波検査による胆嚢隆起性病変の鑑別診断について報告する.
【対象と方法】
2007年3月から2016年7月までに当施設で造影超音波検査を施行し,確定診断に至った胆嚢隆起性病変39例を対象とした.診断は手術検体による病理結果により行い,手術未施行例に関しては1年以上の経過観察で著変のないものを非腫瘍性ポリープとした.内訳は胆嚢癌17例,非腫瘍性ポリープ22例であった.超音波診断装置はGE Healthcare社製のLOGIQ E9またはLOGIQ7,造影超音波検査ではLOGIQ7を使用した.初めにB-modeで胆嚢全体を詳細に観察して病変の長径と形態を評価し,続いてソナゾイド0.2ml/bodyを静注して造影超音波検査を行った.造影のmodeはContrast Harmonic Angio mode(Mechanical index; 0.6-1.0)で間歇送信または3次元自動スキャンにより画像を取得した.造影剤注入後60秒までを動脈相,90秒から180秒までを静脈相とし,血管拡張,血管不整,病変の形態などを評価し,B-modeと造影超音波検査所見から,それぞれ鑑別診断における有用性をretrospectiveに検討した.
【結果】
対象の平均年齢は65.0歳,性別は男性23例,女性16例であった.病変の長径は平均17.3mmであり,胆嚢癌23.8mm(±7.0),非腫瘍性ポリープ12.2mm(±2.7)と,胆嚢癌で有意に大きい結果であった(P<0.001).B-modeにおける広基性病変の割合は胆嚢癌14/17(82%),非腫瘍性病変6/22(27%)で有意差を認めた(P<0.05).造影超音波検査における広基性病変の割合は胆嚢15/17(88%),非腫瘍性病変1/22(4%)(P<0.001),血管不整は,胆嚢癌94%(16/17),非腫瘍性病変9%(2/22)(P<0.001),血管拡張は,胆嚢癌88%(15/17),非腫瘍性病変9%(2/22)(P<0.001)に認めた.病変の形態が広基性で大きさが15mm以上の病変を胆嚢癌とした場合の感度,特異度,正診率は,B-modeで94%,59%,74%,造影超音波検査でさらに血管の評価も加えて解析すると100%,86%,92%であり,造影により診断能が向上した.
【結語】
高音圧造影モードを用いた造影超音波検査は,病変の詳細な形態評価を可能とし,更に病変内部の微細な血管や茎部の流入血管などを描出でき,鑑別診断に有用であった.