Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器2 膵臓 膵疾患における造影超音波検査の有用性

(S266)

急性膵炎重症度判定における造影超音波検査の有用性

Usefulness of contrast enhanced sonography in severity assessment of acute pancreatitis

阪上 順一, 片岡 慶正, 保田 宏明, 十亀 義生, 諏訪 兼敏, 三宅 隼人, 土井 俊文, 加藤 隆介, 伊藤 義人

Junichi SAKAGAMI, Keisho KATAOKA, Hiroaki YASUDA, Yoshio SOGAME, Kanetoshi SUWA, Hayato MIYAKE, Toshifumi DOI, Ryusuke KATO, Yoshito ITOH

京都府立医科大学消化器内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

【はじめに】
急性膵炎の重症度判定における重要なツールは造影CTにおける画像評価である.しかし,医療現場において最初に行う画像診断は経腹壁超音波検査USである.われわれは,以前から急性膵炎発症時の膵局所あるいは膵外の血行動態から重症度判定が可能ではないかと考えて検討を加えてきた.
【目的】
われわれは,膵疾患に対する造影超音波検査を用いて,急性膵炎の重症度判定が可能かどうかを3つの観察手法を用いて検討した.
【対象と方法】
■膵パラメトリックイメージ(parametric US; PUS):急性膵炎発症時に膵が描出できた場合に造影超音波検査を実施し,PUS画像を作成し造影CTとの対比を行った.■腸管循環時間(intestinal circulation time; ICT):上腸間膜動静脈を描出し,造影超音波1stパスを記録し,それぞれの時間差をICTと定義し,急性膵炎重症度と対比検討した.■造影CTとのフュージョン造影超音波検査を用いて腎下極以遠への炎症の波及が判定できるか検討を加えた.
【結果】
□PUSでみられた膵の造影不良域は可逆性のものも見られ,造影CTの造影不良域とよく合致していた(図A).□重症急性膵炎ではICTは短縮する傾向があり,とくに壊死性膵炎ではICTの有意な短縮が認められた.□造影超音波検査では,腎下極以遠への炎症の波及は脂肪織内の部分的に造影されない領域の散在として捉えられる可能性が示唆された(図B).
【考察】
通常のUS観察に造影超音波検査を付加することにより,膵造影不良域や腎下極以遠への炎症波及,腸管循環障害(シャント)の評価が可能ではないかと考察する.
【結論】
造影CTまでの非侵襲検査として,あるいは造影CTができない場合,造影超音波検査による急性膵炎重症度判定が可能な可能性がある.