Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器2 膵臓 膵疾患における造影超音波検査の有用性

(S263)

腫瘤性膵疾患における造影超音波内視鏡検査の有用性

Usefulness of Contrast-Enhanced Endoscopic Ultrasonography in the diagnosis of pancreatic tumors

橋詰 清孝, 廣岡 芳樹, 川嶋 啓揮, 大野 栄三郎, 石川 卓哉, 本多 隆, 葛谷 貞二, 石津 洋二, 山本 健太, 後藤 秀実

Kiyotaka HASHIZUME, Yoshiki HIROOKA, Hiroki KAWASHIMA, Eizaburo OHNO, Takuya ISHIKAWA, Takashi HONDA, Teiji KUZUYA, Yoji ISHIZU, Kenta YAMAMOTO, Hidemi GOTO

1名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学, 2名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Nagoya University Graduate School of Medicine, 2Department of Endoscopy, Nagoya University Hospital

キーワード :

【背景】
造影超音波内視鏡検査(CE-EUS)は1995年Katoらによって報告された.今日では第二世代超音波造影剤を用いたCE-EUSの有用性が報告されている.腫瘤性膵疾患に対するその有用性も報告されているが,各疾患の診断における評価方法は確立されていない.
【目的】
今回,膵腫瘤性病変に施行したCE-EUSの造影様式を半定量的に評価し,その診断能について検討した.
【方法】
2006年1月から2016年12月までに当院でSonazoidを用いた造影ハーモニック法にて検査を行った症例のうち,病理組織学的診断が得られた,又は炎症性腫瘤であった膵腫瘤性病変210例(平均年齢62.7±13.8歳,男女比127:83)を対象とした.疾患の内訳は,pancreatic ductal adenocarcinoma(PDAC)142例,pancreatic neuroendocrine neoplasm(PNEN)31例,solid pseudopapillary neoplasm(SPN)13例,mass-forming pancreatitis(MFP)24例であった.なお,MFPの20例は限局型のautoimmune pancreatitis(AIP)であった.CE-EUSはSonazoid 0.015ml/kgをbolusで静脈内投与し,最初の60秒間を動画にて記録した.20秒,40秒,60秒後の画像における腫瘤部の造影様式を周囲正常膵と比してhyper:+,iso:0,hypo:-と定義した.疾患の評価は,術前の画像診断で形態が類似し鑑別が容易ではないPNENとSPNを同一グループとし,PDAC群,PNEN+SPN群,炎症性腫瘤であるMFP群の3群に分類して行った.検討項目は,1)造影pattern(20秒/40秒/60秒)と疾患との関連性,2)MDCT,MRI,CE-EUSの診断能の比較とした.
【結果】
1)PDAC群では128/142例において-/-/-,0/0/0,0/0/-のpatternであり,そのうち20秒と40秒でともに-/-であるものをPDACpatternと定義すると,その感度・特異度・正診率は71.1%・94.1%・78.5%であった.PNEN+SPN群では比較的hypervascularな症例が多く,26/44例にて+/+/+,+/+/0,+/0/0のpatternであった.3時相にて2カ所以上+と評価されたのは21例であり,PNENは17例であった.3時相中2カ所以上+をPNENとした場合,その診断能は感度54.8%,特異度95.5%,正診率89.5%であった.一方,MFP群では造影様式に多様性を認め,一定の造影patternを示さなかったが,3時相中2カ所以上0であった症例は17/24例であった(感度70.8%,特異度68.8%,正診率69.0%).2)各modalityの正診率(PDAC,PNEN,SPN,MFP)はMDCT(91%,95.2%,96.2%,96.2%),MRI(78.7%,90.67%,89.3%,92.0%),CE-EUS(89.5%,92.9%,95.2%,94.8%)であった.MDCTにて診断しえなかったのは32/142例であり,検討1)の造影patternを適用することで,14/32例は診断を得ることができた.
【結論】
膵腫瘤性病変に対するCE-EUSの半定量的評価の結果,その造影様式を用いることは各疾患の鑑別に有用であり,さらに他のmodalityとの併用において高い診断能が得られることが示唆された.