Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器1 肝臓 肝腫瘤に対する穿刺・治療の進歩

(S261)

Multipolar RFAに対応する新たな腹部超音波下穿刺補助システムの構築

Precision multi-probe placement with double-barelled attachment and three dimensional sim-navigator for multipolar RFA

榊原 充, 大川 和良, 片山 和宏

Mitsuru SAKAKIBARA, Kazuyoshi OKAWA, Kazuhiro KATAYAMA

地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(旧大阪府立成人病センター)肝胆膵内科

Hepatobiliary and Pancreatic Oncology, Osaka International Cancer Institute

キーワード :

Multipolar RFAシステムによって播種リスク軽減を狙った新たな治療法が報告され,さらなる治療効果の向上が期待されている.しかし複数本穿刺は煩雑であるため,これに対応できる新たな腹部超音波下穿刺補助システムの開発が望まれる.当院では2本平行穿刺を単針穿刺と同程度に簡便化する平行穿刺アタッチメントを開発した.一方,3本穿刺を立体的にシミュレーションできるシステムとしてRVSを応用した3D Sim-Navigatorが日立製作所から発売された.
【目的】
平行穿刺アタッチメントと3D Sim-Navigatorを融合し,より簡便かつ安定的に3本穿刺を行える新たな穿刺補助システムを構築する.
【方法】
日立製作所と共同で3D Sim-Navigatorを平行穿刺アタッチメント用に改良した(図).これを用いてφ20mm程度以上の中型結節を対象にC-plane(穿刺ラインに直行しROI中心を通るCT/MRI volume dataの断面)を元に穿刺シミュレーションを行い,各穿刺針の理想穿刺ラインをリファレンスとして保存した.治療当日は平行穿刺アタッチメントを装着したプローブAと1本穿刺アタッチメントを装着したプローブBを用意してリファレンスを参考に3本穿刺を行い,Real-time biplaneで両プローブのUS画像を同時並列表示して3本の穿刺針を観察しながら凝固治療(2+1法)を行った.
【結果】
治療対象5結節のサイズは中央値20mm(19-25mm)で,すべて右葉病変であった.治療前後の造影CTを3次元的に重ね合わせて行った治療効果判定では全結節で2mm以上の全周性マージン(中央値4mm,2-6mm)が確認され,1セッションでの治療完遂できた.治療に要した時間はOverlapを必要とした症例が最長で約90分だった.考察:当院で過去にMonopolar RFAで治療した結節では全周1mm以上のマージンを達成できたものは全体の50%程度であった.今回は部位的に3本穿刺を行いやすいものを選択し症例も少ないため直接比較はできないが,全例で全周2mm以上のマージンを1セッションで達成できた.3D Sim-Navigatorによる綿密なシミュレーションと無理のない治療計画が功を奏したと考える.術時間は最長でも90分程度であり,monopolar RFAの場合と遜色ない.平行穿刺アタッチメントと2+1法による手技の簡便化,安定化が一因と考えられる.
【結論】
平行穿刺アタッチメントと3D Sim-Navigatorの併用はMultipolar RFAに対する新たな腹部超音波下穿刺補助システムとして期待できる.