英文誌(2004-)
特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器1 肝臓 肝腫瘤に対する穿刺・治療の進歩
(S260)
穿刺用マイクロコンベックスプローブに求められるもの
What is required for a micro convex probe?
中村 進一郎, 大西 秀樹, 桑木 健志, 竹内 康人, 白羽 英則, 和田 望, 安中 幸, 能祖 一裕, 高木 章乃夫, 岡田 裕之
Shinichiro NAKAMURA, Hideki ONISHI, Kenji KUWAKI, Yasuto TAKEUCHI, Hidenori SHIRAHA, Nozomu WADA, Yuki YASUNAKA, Kazuhiro NOUSO, Akinobu TAKAKI, Hiroyuki OKADA
1岡山大学病院消化器内科, 2岡山市立市民病院消化器内科
1Department of Gastroenterology and Hepatology, Okayama University Hospital, 2Department of Gastroenterology, Okayama City Hospital
キーワード :
【肝腫瘤に対する超音波ガイド下穿刺の特徴】
肝右葉は主に肋骨に囲まれ,左葉は心窩部の狭い領域に位置するため,超音波ガイド下の穿刺に際しては次のような特徴を有する.(1)高齢者に限らず肋間の幅が比較的狭いため,腫瘤の正確な描出が困難な場合がある.(2)肝内には門脈,動脈,胆管のほか静脈が複雑に交差しており,それらを避けた穿刺経路を設定する必要がある.(3)プローブの大きさ自体が穿刺や治療中の観察の妨げになる場合がある.
これらの点を踏まえ,当科では肝腫瘤の穿刺にはマイクロコンベックスプローブを主に使用している.本題では肝腫瘤を超音波ガイド下に安全かつ正確に穿刺するために要求されるマイクロコンベックスプローブの性能について述べたい.
【形状】
まず,形状だけに関していえは,究極的には小さく薄いものほど良い.ただし,これは後述する画質とtrade-offの関係にあるため,妥協点を見いだす努力が必要である.
【画質】
画質に関しては,良いに越したことはないが,最低限見えなければならないのは(1)腫瘍の輪廓(2)脈管壁(3)肝と肝外臓器の境界(4)穿刺針の先端の4点である.これら4点が明瞭に描出されることは,肝実質や腫瘤内部の微細な構造が描出される事よりも優先されるが,特に深い部位の穿刺においては高い分解能やpenetrationの確保が求められる.
【機能】
機能的には,いまやfusion imagingや造影USへの対応は肝腫瘤の穿刺にとって必須の項目である.さらにNeedle navigationのシステムにより,針の先端位置が把握しやすくなってきたが,いまだ正確とは言いがたい.
【穿刺アタッチメント】
穿刺アタッチメントに要求される性能は(1)可能な限りコンパクトで(2)針の脱着が容易(3)穿刺ルートの死角が少ないこと(4)穿刺角度の選択が可能(5)低コストであること,等があげられる.
以上の点についてシェーマや実際の症例を提示し,現時点での当科の見解を提示したい.