英文誌(2004-)
特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器1 肝臓 肝腫瘤に対する穿刺・治療の進歩
(S257)
ラジオ波焼灼術後のバブルよる高エコー域を壊死部とみなして良いか?
Can the ablative hyperechoic area be regarded as necrotic lesion after radiofrequency ablation of the liver?
南 康範, 工藤 正俊
Yasunori MINAMI, Masatoshi KUDO
近畿大学医学部消化器内科
Gastroenterology and Hepatolohgy, Kinda University Faculty of Medicine
キーワード :
【背景】
ラジオ波焼灼術(RFA)では通電によって生じるマイクロバブルの影響で焼灼の及んだ領域は高エコーを呈する.この高エコー域の大部分が壊死になると考えられているが,その検証は十分でない.
【目的】
RFA後に造影エコーを行い,RFAの高エコー域とavascular areaとの対比を行った.
【方法】
対象は2015年7月から2016年1月まで当院にてRFA直後に造影エコーを施行した肝癌11症例13結節(肝細胞癌n=10,転移性肝癌n=1)である.男性6例,女性5例,平均年齢は62.0歳であり,平均腫瘍径は1.7cmであった.使用した超音波装置はLogiq E9である.B-modeでの焼灼後の高エコー域の計測は,バブルが徐々に消失してアーチファクトが十分軽減した頃合いに行った.その後にsonazoid 0.010ml/kgで静注し,post vascular phaseにおいてB-modeで計測した同じ断面でavascular areaを計測した.また,断面は異なるものの治療効果判定を行ったCTでの焼灼域も計測した.
【結果】
全例において1st sessionで治療成功を達成した.焼灼域の範囲(長径の平均×短径の平均)について,B-modeでは2.76 cm×2.11 cm,CEUSでは2.75 cm×2.28 cm,造影CTでは3.05 cm×2.32 cmであった.
【結語】
RFAによって生じる高エコー域のほぼそのままがavascular areaであり,造影CTからも壊死部が高エコーの範囲よりも小さいと言うことはなかった.
以上のことは,RFA治療でのUS-US overlay fusionの応用によってablative marginをエコー画像で3次元的に評価できることを意味する.つまり,通常CT/MRIで行われている治療効果判定も観察条件が良ければUS-US overlay fusionで代替できることにつながる.