Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション 消化器2 肝臓 肝線維化の評価法

(S251)

新しい2D-Shear Wave Elastographyによる肝硬度測定-Transient Elastographyとの比較-

Liver stiffness measurement by new 2D-Shear Wave Elastography. Comparison between Shear Wave Elastography and Transient Elastography

伝法 秀幸, 斎藤 聡, 窪田 幸一, 藤山 俊一郎, 小林 正宏, 竹内 和男

Hideyuki DENPO, Satoshi SAITOH, Koichi KUBOTA, Shunichiro FUJIYAMA, Masahiro KOBAYASHI, Kazuo TAKEUCHI

1虎の門病院分院臨床検査部, 2虎の門病院肝臓センター, 3虎の門病院消化器内科

1Department of Clinical Laboratory, Toranomon Hospital kajigaya, 2Department of Hepatology, Toranomon Hospital, 3Department of Gastroenterology, Toranomon Hospital

キーワード :

【目的】
2D-Shear Wave Elastography(SWE)はカラーマップによりせん断弾性波の伝搬状態を可視化できるため,理想的な肝硬度測定装置と考えられた.しかしながら種々のアーチファクトによる数値のバラつきがあり,さらに皮下の厚いNAFLD・NASH症例ではプッシュパルスや探索パルスがうまく機能せず測定に限界がみられた.一方,Transient Elastography(TE)では通常体型用のMプローブと肥満体型用のXLプローブを使い分ける事で,皮下の厚いNASH・NAFLD症例にも対応可能となっている.TEはこれまでの報告により各種肝疾患の線維化評価として定評がある.新しい2D-SWEはシングルクリスタルプローブへの変更とシステムバージョンアップ等により,ペネトレーションの向上とアーチファクトが大幅に低減され,皮下の厚い症例も含め数値のバラつきが少ない安定した測定が可能となった.新しい2D-SWEとTEの同時肝硬度測定を施行し,各種比較検討を行った.
【対象と方法】
対象は2D-SWEとTEにて肝硬度同時測定を行った870例.年齢22~92歳(中央値64歳),男女比411:459,BMI15~38(中央値22)kg/m2.背景肝内訳はHCV:328例,HBV:209例,NAFLD(含NASH):126例,nonB-nonC:69例,正常肝:138例.使用機器と肝硬度測定方法は,2D-SWE:LOGIQ E9 XD clear2.0(GEヘルスケア社)を用い右肋間走査にてアーチファクトのない良好なカラーマップに直径1cmのROIを体表より原則4cm付近に設定,3回以上計測し中央値を採用した.TE:フィブロスキャン502(ECHOSENCE社)を使用,皮下厚に応じて20mm未満はMプローブ,20~25mm M/XLは両方併用,25mm以上はXLプローブを使用し,既報の如く右肋間より10回測定し,IQR-median 30%以下の中央値を採用した.
【結果】
検討1:測定可能例は870例中2D-SWE:867例(99%),TE:856例(98%)であり,測定不能の理由は2D-SWEは皮下厚35mm以上の高度肥満例,TEでは高度肥満例と狭肋間例,腹水貯留症例であった.以下,測定可能例に限定して検討.検討2:全例の相関係数はr=0.9198(p<0.001)と良好であった.検討3:正常肝の肝硬度median(range)は,2D-SWE3.81(1.97-6.30),TE3.6(1.9-7.0)であった.また基準値上限を正常肝の95%tileとすると,2D-SWEは5.21kPa/TE5.0kPaとなった.検討4:疾患別の相関係数はHCV:r=0.9401(p<0.001),HBV:r=0.9019(p<0.001),nonB-nonC:r=0.9434(p<0.001),NAFLD:r=0.9008(p<0.001)であり,各疾患とも良好であった.検討5:皮下厚別の相関係数は20mm以下:r=0.9266(p<0.001),20mm超:r=0.8855(p<0.001)であり,以前の2D-SWEでは測定困難であった肥満体型でも良好に測定が可能であった.検討6:TE高値例での相関係数は,10kPa未満:r=0.8163(p<0.001),10kPa以上:r=0.7702(p<0.001)となり,TE高値例において2D-SWEは低値傾向を示した.検討7:2D-SWEと線維化マーカーとの相関係数比較ではそれぞれ,FIB-4index(cutoff3.25未満/以上):r=0.9259/0.9122(p<0.001)となり,APRI(cutoff1.5未満/以上)では:r=0.9203/0.8114(p<0.001)であり,いずれも良好であった.
【まとめ】
2D-SWEは装置の進歩により1本のプローブで,これまで測定困難であった皮下の厚いNAFLD症例を含めてバラつきの少ない安定した測定値が得られ,TEのM&XLプローブ併用と同等の肝硬度測定が行えるようになった.また2D-SWEは,通常のBモード検査と同じ機器で引き続き測定できる事は日常診療上非常に有用である.