Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
パネルディスカッション 消化器1 膵臓 慢性膵炎診断における超音波の役割

(S243)

超音波内視鏡で診断困難な慢性膵炎を背景とした膵癌の診断

The clinical features of pancreatic cancer patients misdiagnosed as chronic pancreatitis with endoscopic ultrasonography

中岡 和徳, 橋本 千樹, 吉岡 健太郎

Kazunori NAKAOKA, Sennju HASHIMOTO, Kenntarou YOSHIOKA

藤田保健衛生大学肝胆膵内科

Department of Liver, Biliary Tract and Pancreas Diseases, Fujita Health University

キーワード :

【背景】
慢性膵炎(CP)を背景とした膵癌(PC)は診断が困難である場合が多く診断に苦慮する.一方超音波内視鏡(EUS)は膵癌の検査で優れている画像検査のひとつである.
【目的】
EUS所見で慢性膵炎像を呈し膵癌の診断が困難であった症例についてその特徴と診断経緯を明らかにすること.
【対象】
2006年4月から2016年11月の間,EUS画像でCP所見を認めた155例.内訳は確診所見:52例,準確診所見:58例,早期慢性膵炎所見:45例.後方視的に観察した.
【検討項目】
①膵癌と診断出来なかったEUS所見の特徴,tumor location,膵癌の診断に至った検査,や最終的なstage
②慢性膵炎群(C群)と膵癌群(P群)間で性別(M/F),年齢,CEA(ng/ml),CA19-9(U/ml)膵管拡張(有/無),膵石(有/無).
【結果】
①EUSでPCと診断出来なかった症例は全体で7.7%(12/155),CPの準確診所見と診断したものは18.9%(11/58),早期慢性膵炎所見と診断したものは2.2%(1/45).tumor locationは,head/body/tail=11/1/0,f stageは,Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ=0/0/10/2.ERPは49例,EUSFNABは10例施行しており,ERP細胞診での診断2例,EUSFNABでの診断1例,PET-CTでの診断1例,MDCTでの診断3例,経過観察で発覚したもの1例.ERP細胞診の偽陰性3例,EUSFNABの偽陰性1例であった.
②性別(C群:116/25,P群:6/6,P=0.008),CA19-9値(C群:103.9,P群:642.6,P=0.03),膵石(C群:53/88,P群:0/12,P=0.008)と有意差があり,年齢(C群:67,P群:71,P=NS),CEA(C群:4.5,P群:4.1,P=NS),主膵管の拡張(C群:87/54,P群:11/1,P=NS)の有無については両群に有意差は認めなかった.
【考察】
EUSでPCと診断出来なかったものは全症例腫瘤が描出されなかった.膵管拡張を伴い,ERPやEUSFNAで診断できたものは4例,出来なかったものは4例認.一方でEUSではPCを否定したがdynamicでPCを疑い,手術したがCPであった5例,AIP1例を認めた.主膵管の拡張の有無でPC群,CP群の間で有意差はなかったが主膵管に膵石を認めず,慢性膵炎の準確診所見を呈する場合,腫瘤性病変が描出出来なかった膵癌とその随伴性膵炎を認めていることが考えられた.