Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器2 消化器横断領域 消化器領域における超音波の最新技術

(S239)

最新技術が可能とする超音波検査の客観性の向上

Improvement in the objectivity of the ultrasound test which the equipment of state-of-the-art technology makes possible in the future

小川 眞広, 渡邊 幸信, 平山 みどり, 三浦 隆生, 松本 直樹, 中河原 浩史, 大城 周, 中田 直美, 森山 光彦

Masahiro OGAWA, Yukinobu WATANABE, Midori HIRAYAMA, Takao MIURA, Naoki MATSUMOTO, Hiroshi NAKAGAWARA, Syuu OOSHIRO, Naomi NAKATA, Mitsuhiko MORIYAMA

1日本大学病院消化器内科, 2日本大学病院臨床検査部

1Gastroenterological medicine, Nihon University Hospital, 2Clinical laboratory, Nihon University Hospital

キーワード :

【はじめに】
現代社会において生活の中のコンピュータは切っても切り離せない状態でありこれが効率化や安全性の向上に役立つようになっている.超音波診断装置においても装置の進化は分解能の向上のみではなく検査の効率化や客観性の向上に寄与するべき時代となりつつある.近年各診断装置にはプログラムを組みその順番で撮影を可能とするソフトが装備されているものが多くなっているが有効活用されていないのが現状である.そこで我々は各装置においてこのプログラムを見直し各装置で統一した走査手順で施行するように再構成性しその効果と有用性について検討したので報告をする.
【方法】
使用措置:GEヘルスケア社製LOGIQE9,S8,東芝メディカルシステムズAplio500,i800,Siemens社製S3000.腹部スクリーニング検査を施行する際,自動的にFreezeを押すと自動的に静止画像を記録し次の表示に変わるようにして撮影順序を固定化させた.撮影順番は①左腎,②脾臓,③脾臓越し膵尾部④腹部大動脈,⑤正中縦走査大動脈面,⑥正中縦走査下大静脈面,⑦正中縦走査膵頭部~鉤部,⑧正中横走査膵体部,⑨正中横走査拡大像膵管計測,⑩正中斜走査膵体尾部,⑪正中斜走査膵頭部,⑫右肋骨弓下走査胆嚢,⑬右肋骨弓下縦走査胆嚢,⑭右肋骨弓下斜走査肝外胆管,⑮右肋間走査胆嚢,⑯正中横~左肋骨弓下肝外側区,⑰正中横走査S4,⑱右肋骨弓下走査S5,⑲右肋骨弓下走査S6,7,⑳右肋骨弓下走査S8,右肋骨弓下走査IVC,右肋間走査S8,右肋間走査S5,右肋間走査S7,右肋間走査S6腎および肝腎コントラストとした.以降はこれまで通り自由に撮影を行い拡大,計測,カラードプラ,エラストグラフィー,造影超音波検査などを施行した.以上装置のソフトを活用しシステム変更してからの効果を検討した.
【結果】
これまでも撮影順番口頭で指示していた時期と比較しソフト使用により確実に順番を遵守する割合が上昇した.特に大学病院においては人の入れ替わりも多く特に研修医なども含めた手順の徹底が困難であったが本ソフトの活用により徹底する事が容易となった.また,新人を含め施行者側にも順番に気を取られる事なくMonitor画像に集中し検査が可能となる利点があると考えられた.この手法は検者に確認することなくどこの部位を撮影する目的なのかを第3者のである二重読影を行う者にも把握可能であり,これにより描出不良の要因が演者側の因子か非検者側の因子かを把握しやすくなった.また,検査終了後の専門医により二重読影を行う場合には,客観性が飛躍的に上昇し読影がしやすくなった.
【考察】
これまで撮影断面は指示しても順番にまで細かく指定することはなかったが今回撮影順番まで規定した腹部スクリーニング検査施行した.これにより過去画像との比較,第三者による二重読影,検査の状況把握,超音波教育において飛躍的に客観性が上昇したと考えられた.将来的にはプログラム変更の際も簡便に修正可能であるため単施設ではなく多施設で施行することにより検者の変更・移動による影響も少なくなるため客観性の向上に寄与すると考えられた.現在数社が搭載することによりさらに臨床的なソフトになりつつあり今後最新技術が支える客観性の向上にさらに期待したい.