Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器2 消化器横断領域 消化器領域における超音波の最新技術

(S237)

各種超音波エラストグラフィデバイスの進歩とその有用性

Progress and usefulness of various ultrasonic elastography devices

矢田 典久, 依田 広, 工藤 正俊

Norihisa YADA, Hiroshi IDA, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部消化器内科

Kindai University Faculty of Medicine, Department of Gastroenterology and Hepatology

キーワード :

超音波エラストグラフィは,2003年にStrain elastographyとTransient elastography(TE)が市販された.その後,超音波エラストグラフィがウイルス性肝疾患を中心に肝線維化診断に有用であるとの多くの発表がされてきた.また,エラストグラフィは,病態を診断するだけではなくその肝硬度により肝発癌・食道静脈瘤・肝不全などのリスク評価にも有用であることが数多く報告された.その後,非アルコール性脂肪性肝疾患の診断や病態の診断への応用にも有用であるとの報告が行われるなど,様々な肝疾患に対しての有用性が示されてきた.肝硬度は肝線維化だけではなく炎症・黄疸・うっ血などの影響もうけると報告されてきたが,近年は,この原理を応用しFontan術後評価や心不全のリスク評価などへの応用まで,その適応範囲は,非常に広くなってきている.
一方,正しい測定結果を得るために数々の工夫が行われてきた.TEはB-mode画像なないため,他のデバイスを併用することで測定不能率を減らす工夫が行われるようになった.また,測定深度が固定されているため肥満患者用に太い探触子で叩打し,測定深度をより深くに設けたL-プローブが開発され,適応患者数は飛躍的に増加した.Point shear wave elastographyは簡便に測定ができるという利点はあるが,TEと同様に測定結果の信憑性評価は測定値の散らばり具合で評価せざるを得なかった.Shear wave elastographyはカラーマッピング表示により,剪断波伝播速度の分布により信頼のおける検査かどうかがが一目でわかるようになった.現在では,ほとんどのメーカーが超音波エラストグラフィを搭載できる装置を販売するような時代となった.今日の超音波ドプラ技術がそうであるように,エラストグラフィは超音波にとって大きな技術的躍進の一つであるといえ,今後,さらに進歩・普及するものと思われる.