Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器1 肝臓 脂肪性肝疾患の超音波臨床 ~up to date~

(S232)

脂肪肝のBモード超音波診断-その現状と問題点

A diagnosis of the fatty liver using B mode ultrasound.

和久井 紀貴, 松清 靖, 住野 泰清

Noritaka WAKUI, Yasushi MASTUKIYO, Yasukiyo SUMINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

超音波(US)検査における脂肪肝診断の歴史は古く,1979年にJosephらが”bright liver pattern“を提唱することから始まり,その後,肝腎コントラストや深部減衰,肝静脈壁の不鮮明化などが診断の手助けとなる特徴像として報告された.しかし近年,US装置が発達した結果,超音波ビームのpenetrationが改善され肝脂肪化の特徴的なUS所見に変化が生じている.特に深部減衰はコンピューター補正の影響で,あたかも減衰がないような画像が作られ,現在の装置では得られにくい所見となった.このような装置の進歩の影響も踏まえつつ,今回,脂肪肝のBモードUS診断の観点から,その現状と問題点について以下の検討を行ったため当日お示しする.
(1)BモードUSにおける脂肪肝診断の現状:
我々の施設では今までの病理結果を踏まえながら以下のように考え日常診療を行っている.すなわち肝実質がbrightで肝腎コントラストがはっきりしているが,深部減衰がみられないものは脂肪化率20%~30%くらいの軽度脂肪肝,それらの所見に加えて深部減衰を伴い,脈管の不明瞭化がはっきりしたものを50~60%以上の高度脂肪肝,また,その中間を中等度脂肪肝と考えている.今回,それらが本当に正しい指標であるか確かめるべく,肝生検を施行したNAFLD 92例を対象とし,後ろ向きにUS所見と対比した.
(2)どこまで読めるか?:
NASHの診断基準では脂肪化率5%付近といった“極軽度の脂肪肝”もスコアー化された.はたして5%付近の脂肪肝をBモードで診断できるか,という観点から検討を行った.
(3)診断の問題点(病理との乖離例):
腹部USと肝生検を施行したNAFLD 92例を対象とし,USでの診断結果と病理像との脂肪率の乖離例を検討した.