Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 循環器
ワークショップ(オーディエンス・レスポンスシステム) 循環器3 定量評価の落とし穴

(S228)

右室機能-定量評価の落とし穴

Pitfalls in quantitative evaluation of right ventricular function

杉浦 英美喜

Emiyo SUGIURA

三重大学循環器内科

Department of Cardiology, Mie University

キーワード :

近年右室機能が注目され,様々な心疾患の予後規定因子であることが報告されてきた.右室はその複雑な形態から,2D心エコーで簡単に右室容積や駆出率を測定することができない.右室容量評価のゴールデンスタンダートは心臓MRIであり,3D心エコーを用いて心臓MRIと同等に右室駆出率を算出することが可能であるが,3D心エコーを用いた右室容量評価には特別な解析ソフトを必要とし,限られた施設でしか施行できないのが現状である.右室収縮能指標として,アメリカ心エコー図学会のガイドラインでは,右室面積変化率(FAC),三尖弁輪収縮期移動距離(TAPSE),三尖弁輪収縮期移動速度(S’),右室心筋パフォーマンスインデックス(MPI)が推奨されており,これらの指標は計測にハイエンドな心エコー装置を必要としないことから,日常臨床で広く用いられている.しかし,2次元の画像から得られる指標を3次元指標の代用としていることから,それぞれの計測上の限界を知って用いる必要がある.右室は壁が薄くコンプライアンスが高いため,前負荷の変化に柔軟に対応する.その反面,圧変化には弱く後負荷上昇により用意に機能低下に陥る.後負荷上昇の代表的疾患の一つである急性肺血栓塞栓症において,右室収縮能低下とともに右室同期不全が生じており,治療による後負荷の軽減により右室収縮能,同期不全ともに改善する.収縮能低下時の同期不全の存在が2D心エコー指標での右室機能評価を困難にしている一因と推察される.本セッションではこれらの右室指標と実際の右室機能が食い違う例を示しつつ,その原因を考えてみたい.