Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 循環器
ワークショップ(オーディエンス・レスポンスシステム) 循環器2 我が国の心エコー図検査の実態

(S223)

依頼医師が納得する心エコーレポート

The Echocardiographic report which a request doctor is convinced.

髙橋 秀一

Shuichi TAKAHASHI

社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院医療技術部

Department of Medical technology, Saiseikai Chuwa Hospital

キーワード :

心エコー図検査は,1970年代後半に断層心エコー図法の登場により急激に発展した.やがてドブラ法による心腔内の血流分析や,定量評価も日常臨床検査の場で実施されるようになり,今日ではそれらが当然のようになっている.この流れは,1985年から日本超音波医学会が実施している認定超音波検査士制度の後押しにより始まった.技師の知識と技術の向上により医師の信頼度が高まり,その結果として両者の良い関係が生まれ,循環器疾患の診断,治療,経過観察を支えるものとなった.このような状況の中,検査の集大成であるレポートは依頼医師が納得するものでなければならないと常々考えている.
■計測値
計測値は,目の前にある心臓の状態を客観的に数値で表し相手に伝えるためにある.その中でも心腔計測値は検査者の技量が如実にあらわれる.計測の基本を忠実に守り,要所を押さえた記録と計測を続けることにより精度の良いデータを出すことができる.
■記録画像の評価
心エコー図検査は,描画された画像を読影そして計測するものである.すなわち,画像を見ただけで次々と心臓の状態がつかみとれるものでなければならない.立派に書かれたレポートであっても,画像が不明瞭でつかみどころがなければ説得力がなく,信頼も薄らぐ.画質の善し悪しは,探触子の当て方や微妙な傾け方は当然であり,ゲイン,STC,フォーカスなどの装置調整を逐一行うこと,さらにはズーム機能を盛り込むなど,検査者の技量に依存するものがたくさんある.
■依頼医師が納得する心エコーレポート
検査目的に「心房細動」とだけ記載されている依頼があったとしよう.心房細動の奥底に潜んでいる病態をいかに忠実に捉え,それを記録・計測して報告するか考えたい.心腔の拡大もなくすべて正常域であった場合,流れ作業で検査を行い,流れ作業でレポートを書くと「無表情な所見」+「正常範囲」となる.少なくとも「心房の拡大は認めません」「見える範囲に血栓はみとめません」と付記することで大きな信頼を得ることになる.依頼医師がレポートをどう読むか,どう読まれたいかに焦点を当てて作成することにより,渾身のレポートも,きちんと読まれ,その真意が伝わり納得するレポートをなるであろう.