Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 循環器
ワークショップ(オーディエンス・レスポンスシステム) 循環器2 我が国の心エコー図検査の実態

(S222)

当院における心エコー図検査報告書の現状と問題点

Currrent status and problems of echocardiography report in our hospital

有馬 ひとみ

Hitomi ARIMA

前橋赤十字病院臨床検査部

Department of Clinical Laboratory, Maebashi Red Cross Hospital

キーワード :

当院生理検査室では,心臓,腹部,体表,血管など,全ての領域の超音波検査を広く行っており,心エコー図検査は,装置1台で5名の超音波検査士の内1名が日替わりで検査している.
【報告書の作成方法】
心エコー図検査の報告書は,ファイルメーカーにて作成したテンプレートを使用している.各計測値の記入欄,超音波所見欄,超音波診断欄で構成されており,検査担当者は計測値を入力し,左室収縮能・拡張能の指標や弁形態・弁逆流の評価等の超音波所見をフリー入力にて記載する.超音波診断は未記入のまま仮報告として第1報を臨床へ返す.後日,超音波経験の長い技師2名が分担して,検査時の記録画像と報告書を確認のうえ超音波診断を記載し,最終報告とする.
【現状と問題点】
当院には超音波専門医,指導医はもとより,心エコーに精通した常勤医師はいない.ほとんどの検査で迅速な結果報告が求められるため,検者が記載した仮報告で臨床の医師は判断することになる.さらに当院では電子カルテ上では心エコー図検査の動画が閲覧できないため,診療の現場での判断は報告書が重要となる.しかし現状では,技師の疾患や治療に対する知識不足もあり,報告書では計測値の羅列や観察所見のみの記載にとどまることが多く,臨床側でも判断に迷う事もある.報告書のダブルチェックは後日になってしまう事が多く,最終報告で所見が修正される事例もある.また,臨床とのカンファレンス等の場も設けられていないため,結果のフィードバックは各自に委ねられている.
現在は装置の台数制限により一日の検査件数が限られるため,生理検査室では心臓血管内科・心臓血管外科からの検査依頼しかうけていないが,心エコー図検査に詳しくない他の診療科医師からの依頼には,十分な結果報告が出来る状況とはいえないのが現状である.
別の問題点として,検査依頼において医師からの依頼コメントの記載が十分でない事も挙げられる.
【今後の課題】
当院の心エコー図検査では,検査手順や画像記録方法,計測方法などについては,技師間での統一化がされてきている.今後は報告書に関しても統一化をはかり,得られた検査所見の要約,検査依頼に対して的確な報告ができるよう精度向上に努めたい.
また,技師の教育も大事であるが,超音波専門医や指導医のいない当院では,研修医や若手医師に,検査依頼時に明確な検査依頼目的を記載してもらえるような働きかけや,超音波における知識や技術等の指導も必要であると感じている.