Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 循環器
ワークショップ(オーディエンス・レスポンスシステム) 循環器2 我が国の心エコー図検査の実態

(S222)

常勤循環器医不在施設での心エコー図検査

Taking Echocardiography in Hospitals without a Full-Time Cardiologist

桑原 喜久男

Kikuo KUWABARA

済生会三条病院臨床検査科

Department of clinical Laboratory, Saiseikai Sanjyou Hospital

キーワード :

当院は新潟県中央部に位置し,許可病床数199床(地域包括ケア病床46床),人工透析40床を有する一般病院である.平成27年に循環器医が退職し,常勤する循環器医が不在となった.現在は週2回,出張による循環器医の外来診療が行われ,専門性や侵襲的な治療が必要となる症例に対しては循環器科,心臓血管外科を持つ施設に紹介している.当院の役割は治療のタイミングを逃すことなく,次の医療機関に治療を引き継ぐ事,治療が行われた後の経過観察を行う事が使命であると考え,その一助となれるように検査にあたっている.担当は3名(超音波検査士2名)で新生児から高齢者までの検査を行っており,この様な状況で我々の取り組みと問題点をお示する.
【取り組み】
1)計測手技の統一
2)基本断面,疾患による追加断面の統一
検査から得られる所見(数値を含め)を担保することが我々の職務と考え,各種計測はガイドラインに沿って行い,記録に残す断面は統一,症例によって必要となる追加断面を確認している.
【教育】
1)各種ガイドラインの理解
2)学会,研修会,ITを活用した学習 
3)紹介先からの紹介状を用いた情報共有,振り返り 
関連学会から出されるガイドラインを把握,定められた方法で求められる結果を提供できるように努めている.症例数が少ない為,学会,研修会やITを利用して経験できない症例を供覧し,経験値を上げるよう努めている.当院から手術等を目的に他院へ紹介した症例では,紹介状,手術記録等を参考にエコー所見と突き合わせ,検証するように努めている.
【問題点】
1)診断医師の不在
2)判断困難な例についての対応(コメント,所見をどうするか),相談相手の不在
3)循環器疾患を専門としない依頼医師への分かりやすい説明
経験の無い症例の際,心エコーによる評価法,解釈について迷う事例を経験するが,専門性を持つ医師と相談する機会がない事が問題となる.また,多くの検査依頼は循環器疾患を専門としない医師であり,所見が報告書で十分伝わっているのか?わかりやすく伝える事ができているのか?自問している.必要な際は依頼医へ直接,所見を伝えている.また,追加検査や心エコー図検査の経過観察の必要性ついてアドバイスを行う事も我々の責務と考えている.