大西 哲存

Tetsuari ONISHI

兵庫県立姫路循環器病センター循環器内科

Department of Cardiology, Himeji Cardiovascular Center

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日常診療における心エコー図検査で右心系評価に割り当てられる時間は左心系に比べ少ないかもしれないが，見過ごしてはならないポイントがいくつかある．
その一つが，三尖弁逆流を利用した肺高血圧の推定である．簡易ベルヌーイ式を用い三尖弁逆流血流速度から右室右房圧較差を算出し右房圧を加えることで，収縮期に最大となる右室圧＝肺動脈圧を推定できる．これが40mmHg以上ある場合，肺高血圧が疑われる．
しかし，この推定値を導くまでに概算や推定が存在するため，右心カテーテル検査での実測値と大きく異なる値を出してしまうことがしばしばある．
本講では，心エコー図での肺高血圧推定にかかわる諸問題を明らかにするとともに，右心機能と肺高血圧の関係，三尖弁逆流と肺高血圧の関係についての解説も加え，右心系評価の理解の助けとしたい．