英文誌(2004-)
特別プログラム 循環器
シンポジウム 循環器6 心エコー技術のcutting edge Integrated imaging時代における心エコー
(S216)
成人先天性心疾患におけるSmart Fusion Imagingの有用性
Usefulness of Smart Fusion Imaging in Patients with Adult Congenital Heart Disease
高谷 陽一
Yoichi TAKAYA
岡山大学循環器内科
Department of Cardiovascular Medicine, Okayama University
キーワード :
成人先天性心疾患(Adult congenital heart disease:ACHD)は,近年,複雑心奇形に対する心臓外科手術や内科治療の進歩に伴い,頻度は年々増加し,今後も年1万人のペースで増加していくことが予想される.ACHDはまれな疾患ではなく,循環器内科医や心エコー検査技師にとって必ず直面する疾患になりつつある.
ACHD診療において,経胸壁心エコー図検査(Transthoracic echocardiography:TTE)はリアルタイムに評価可能であり非常に有用であるが,ACHDの心血管関係・構造は複雑で解剖学的な理解が容易でない.また度重なる手術や胸郭異常などの影響によりecho windowが狭く,鮮明に描出することが困難な場合がある.そこで,我々はACHDに対して,画像構築により解剖学的な評価に優れている心臓CTとTTEのリアルタイム同期side by side表示で描出することが可能なSmart Fusion Imaging:SFI(東芝メディカルシステムズ)を用いて評価を行っている.
ACHDのなかで,右室流出路・肺動脈病変は,予後規定因子のひとつであり,治療介入する必要性など,臨床上,正確な評価が重要である.その重症度を評価するうえで,右室流出路・肺動脈の正確な描出が不可決である.我々の検討では,SFIを用いない場合,TTEのみでは病変の正確な描出や特定が困難であったが,図に示したように,SFIを用いた場合,全例で病変の特定が可能であった.また狭窄病変の圧較差を正確に測定することが可能であり,SFIはACHDにおける右室流出路・肺動脈病変の評価に有用であると考えられた.
心臓CTとTTEをかけあわせたMulti-modality ImagingであるSFIは,ACHD診療において,複雑な解剖学的・機能的異常の診断や評価に有用であり,本講演では,SFIの臨床的有用性について,我々の検討を含めて概説する.