Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 循環器
シンポジウム 循環器5 負荷心エコーの積極活用(虚血以外)

(S212)

肺高血圧症に対する負荷心エコーの積極活用

The Clinical Utility of Exercise Echocardiography for Pulmonary Hypertension

楠瀬 賢也, 山田 博胤, 佐田 政隆

Kenya KUSUNOSE, Hirotsugu YAMADA, Masataka SATA

徳島大学病院循環器内科

Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital

キーワード :

かつて肺高血圧症というと治療が困難で予後不良な疾患というイメージがあったが,肺動脈性肺高血圧の病態改善を目的とした肺血管拡張薬が登場したことで,早期診断と的確な治療によって生命予後の改善が期待できるようになった.このような状況の中で,心エコー法による肺高血圧の診断は極めて重要な位置づけにある.ガイドラインでは明確に推奨されていないものの,運動負荷心エコー図法は,肺高血圧症の前駆病態と考えられる運動誘発性肺高血圧症の検出に有用である.
我々は,肺高血圧症のハイリスク群である膠原病患者を対象とし,6分間歩行負荷心エコー図検査を用いることにより,将来の安静時肺高血圧症を予測できないかを検討した.その結果,6分間歩行前後の平均肺動脈圧および心拍出量の変化の比(ΔmPAP/ΔCO)が大であることが,将来の安静時肺高血圧症の発症と関連することを示した(図).
運動負荷心エコー図検査は,ガイドラインから運動誘発性肺高血圧の診断基準が削除され,その有用性に議論も多い.しかしながら,適切な患者に,適切な負荷をかけ,適切な評価を行えば,将来の肺高血圧症ハイリスク群を鑑別することが可能であり,ひいては患者の予後やQOLの改善に繋がると考えられる.
Ref: Kusunose K, Yamada H, Hotchi J, Bando M, Nishio S, Hirata Y, Ise T, Yamaguchi K, Yagi S, Soeki T, Wakatsuki T, Sata M. Prediction of Future Overt Pulmonary Hypertension by 6-Min Walk Stress Echocardiography in Patients With Connective Tissue Disease. J Am Coll Cardiol. 2015;66:376-384.