山田 博胤, 楠瀬 賢也, 佐田 政隆

Hirotsugu YAMADA, Kenya KUSUNOSE, Masataka SATA

¹徳島大学病院循環器内科, ²徳島大学病院超音波センター

¹Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital, ²Untrasound Examination Center, Tokushima University Hospital

キーワード :

【目的】
心不全患者の生活の質を決める最も重要な因子は運動耐容能であり，peak VO2はその代表的指標の1つである．Peak VO2は心肺運動負荷試験（cardiopulmonary exerecise testing：CPX）により，その患者にとって最大限の運動を負荷することで得られる．しかし，心肺運動負荷試験は煩雑であり，より簡便に運動耐容能が推定できれば，心不全患者の管理に重要な情報を提供しうる．そこで，心不全患者において，下肢陽圧負荷を用いたPreload Stress Echocardiographyによって，運動耐容能を予測することができないか検討した．
【方法】
慢性心不全患者でCPXと心エコー図検査を同日に行った68人を対象とした（平均年齢：60歳，平均左室駆出率：43％）．心エコー図検査時に下肢陽圧負荷を行い，安静時と負荷時の各種心エコー図指標とpeak VO2との関連について検討した．
【結果】
VO2が高度に低下した群（peak VO2＜14 mL/kg/min）では，安静時の一回心拍出量が低く，左室収縮能指標の一つであるglobal longitudinal strain（GLS）および右室収縮能指標の一つであるright ventricular（RV）strainが低い傾向にあった．また，同群ではE/e’および推定収縮期肺動脈圧が高い傾向にあった．下肢陽圧負荷時の各種指標では，よりそれらの傾向が強調された．多変量解析の結果，Peak VO2を最もよく予測する心エコー指標は，下肢陽圧負荷時RVのstrain（AUC: 0.88）であった（図）．
【結語】
前負荷増大時の心エコー図指標は，運動耐容能指標であるpeak VO2とより良好な相関を認めた．慢性心不全患者における運動耐容能を予測する方法として，Preload Stress Echocardiographyは有用である．