Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 循環器
シンポジウム 循環器5 負荷心エコーの積極活用(虚血以外)

(S209)

当院における負荷心エコー図検査の現状

Our application and experience in stress echocardiography for non-ischemic indication

黒沢 幸嗣

Koji KUROSAWA

群馬大学医学部附属病院検査部

Department of Clinical Laboratory Center, Gunma University Hospital

キーワード :

2012年4月から負荷心エコー図検査が保険収載されて5年が経過しようとしている.しかしながら日本循環器学会の実態調査によると,この5年に全国で施行されている負荷心エコー図検査の件数は,運動負荷と薬物(ドブタミン)負荷を合わせるとほぼ横ばいの6000件/年程度であり,2012年以前と比べるとむしろ減少している(図).普及しない理由としては,どうやってはじめればいいかわからない,画像取得が難しい(特にトレッドミルを使用した場合)など色々あるだろう.
しかしながら負荷心エコー図検査では安静時心エコー図検査ではわからない情報を多分に引き出すことができる.さらに以前は負荷心エコー図検査というと,主に虚血性心疾患の診断の目的で行われることが多かったが,近年弁膜症,心筋症,肺高血圧など,負荷をかけることで色々な情報を取得できる疾患は多岐にわたっている.
当院では2009年4月から2017年1月の約8年間で当院では105例の負荷心エコー図検査を行った.そのうち68例は虚血性心疾患に対して,37例は非虚血性心疾患に対して行った.非虚血性心疾患に対する負荷の種類は運動負荷が21例,薬物負荷が16例であった.
運動負荷心エコー図検査21例中,膠原病患者の肺高血圧の評価が8例と最も多く,次いで閉塞性肥大型心筋症の圧較差評価5例,労作時息切れの精査4例,僧帽弁閉鎖不全症1例,僧帽弁狭窄症1例,大動脈弁上狭窄1例,三心房心の圧較差評価1例であった.薬物負荷心エコー図検査16例中,7例が閉塞性肥大型心筋症に対するドブタミン負荷,6例が大動脈弁狭窄症に対する低用量ドブタミン負荷,2例が肥大型心筋症に対する亜硝酸アミル負荷,1例がニトロール負荷であった.
これらの中から症例提示しながら,負荷心エコー図検査の有用性について述べていきたい.