英文誌(2004-)
特別プログラム 循環器
シンポジウム 循環器2 成人先天性心疾患の心エコー
(S199)
成人期における先天性心疾患の術後心エコー
Echocardiography for postoperative adult patients with congenital heart disease
安河内 聰
Satoshi YASUKOCHI
長野県立こども病院循環器センター
Nagano Children's Hospital, Heart center
キーワード :
成人期を迎えるまたは成人期に到達した先天性心疾患(CHD)の症例数は,外科手術成績の向上とともに年増加しており2007年以後は15歳以上の症例数が15歳以下の症例数を凌駕する状況となっている.小児期に手術した術後症例の心エコーや小児期からのcarry overのCHDの心エコーをどのように診断し,治療に結び付けて行くかはもはや内科医や内科技師にとっても避けることができない問題である.ここでは,成人期に診断すべきCHDの術後症例の心エコーについて,3D心エコーを含めた最新の心エコー技術を利用した画像診断について解説する.
成人期CHD症例(ACHD症例)の画像診断においては,元々のCHDの形態異常と血行動態異常の理解の上に,外科手術による修飾とその遺残病変,続発症のチェックが問題となる.臨床的には,複数回の心臓手術や胸郭変形のためにエコーウインドウが狭く心エコー画像自体が得にくい症例も多いが,心内構造異常の評価や弁異常,心機能解析においては,心エコーは非常に有用である.
肺高血圧合併の評価,心機能からみた不全評価,弁逆流評価に加え,特に右室機能の評価においては最近3Dエコーが応用されるようになった.その特に特に重要なのは,ACHD患者にとっての「正常とは何か」ということである.表1に,体心室が解剖学的右室の正常値を示すが,これらの正常値は加齢と共に変化すると思われる.
手術による血流変化とその結果としての心機能解析については,心内血流エネルギーからの評価(VFM:Venctor Flow Mapping)も最近では可能となってきた.手術ばかりでなく心房中隔欠損に対するカテーテル治療後の遠隔期の心房機能など今後解決すべき課題はつきない.