Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 循環器
シンポジウム 循環器2 成人先天性心疾患の心エコー

(S199)

成人先天性心疾患診療における心エコー図検査の実際

Practical approaches of the echocardiographic examination in daily clinical practice for patients with adult congenital heart disease

松本 賢亮

Kensuke MATSUMOTO

神戸大学病院循環器内科

Department of cardiology, Kobe university graduate school

キーワード :

先天性心疾患に対する内科的,外科的治療の進歩に伴い,今日では多くの先天性心疾患患者が成人となることが可能となっている.このようにして成人先天性心疾患:Adult Congenital Heart Disease(ACHD)患者は増加の一途にあるが,その一方で,このようにして増え続けるACHD患者に対して,現状では我々循環器内科医側の準備が十分に整っているとは言いがたい.
幼少期に行われた心臓手術が成功した場合でも,先天性心疾患手術の多くは根治手術ではなく,その後の合併症,遺残症,および続発症などの諸問題が新たに起こり得る.そして,加齢に伴い心機能の悪化や不整脈の出現,心不全や突然死といった問題が続発し,さらに手術時に使用した導管や人工弁などの経年劣化のために再手術が必要となる.このようにして,ACHD患者は生涯に渡る継続した専門管理が必要となるのであるが,その管理において心臓超音波検査が重要な位置を占めることは論を待たない.
一方,先天性心疾患はそもそも疾患としての種類が多く,かつひとつひとつの疾患が非常にvariationに富んでいるが,修正前の解剖学的特徴や血行動態が複雑であるだけでなく,幼少期に行われた手術操作による修飾も加わり,その病態はさらに複雑となっている.このような複雑な解剖学的および血行動態的特徴を有するACHD患者を適切に管理するためには,修復術後の一般的な経過や自然予後に関する知識,さらには心臓発生学や心臓構造学の知識を十分に念頭に置いた心臓超音波検査が望まれる.この際,疾患によって見るべきポイントが当然異なるため,キモとなるべきポイントに十分フォーカスした検査がその都度必要となる.本セッションでは,心房中隔欠損症,心室中隔欠損症,動脈管開存症といった単純心奇形に加え,ファロー四徴症,大血管転移症,Eisenmenger症候群,およびFontan循環など我々循環器医が日常臨床で遭遇する可能性の高い複雑心奇形も取り上げ,各疾患の評価に必要とされる心臓超音波検査のポイントにつき症例ベースで概説したい.