英文誌(2004-)
特別プログラム 循環器
シンポジウム 循環器1 僧帽弁形成術周術期心エコー
(S196)
MitraClipにおける心エコー図検査の有用性について
Usefulness of Echocardiographic evaluation for MitraClip procedure
村田 光繁, 鶴田 ひかる, 板橋 裕史
Mitsushige MURATA, Hikaru TSURUTA, Yuji ITABASHI
1慶應義塾大学医学部臨床検査医学, 2慶應義塾大学医学部循環器内科
1Department of Laboratory Medicine, Keio University, School of Medicine, 2Department of Cardiology, Keio University, School of Medicine
キーワード :
心臓外科手術がハイリスクな僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対する低侵襲治療として経皮的僧帽弁形成術が注目されている.世界中で最も広く使用されているMitraClipの治験が本邦において終了し,今後普及が見込まれる.MitraClipと外科手術のrandomized trialであるEVEREST II試験では,MitraClipが外科手術と比較し,安全性には優れるもののMR改善には劣ることが明らかとなり,外科手術の効果が長期的に確立されている器質性MR(DMR)については外科手術が選択される.一方で,ハイリスクな器質性MRや外科手術による生命予後改善が未だ確立されていない機能性MR(FMR)については,MitraClipが有効な治療選択肢として期待される.
心エコー図はMitraClipの適応,術中モニタリングにおいて最も重要なmodalityである.MRの重症度やetiologyの評価に加え,解剖学的にMitraClipが可能か否かを判断する.DMRにおけるflail gap, flail widthの計測,FMRにおけるcoaptation lengthやcoaptation depthの計測などが必須となる.一方,術中モニタリングにおける経食道心エコー図では,適切な位置での心房中隔穿刺,デバイスの位置確認および誘導,クリップによる弁把持の確認などが要求され,さらに術者とより密なコミュニケーションをとるために3次元心エコー図を活用することが望ましい.本講演では,実際の症例を提示しMitraClipにおける心エコーの有用性を実感してもらいたい.