Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 工学基礎
シンポジウム 工学基礎4 光超音波イメージングの新展開

(S190)

LED光源方式光音響イメージングの光音響受信信号(RFデータ)の基礎的検討

Basic analysis of photoacoustic RF signal by using LED light source photoacoustic imaging system

繁田 裕介

Yusuke SHIGETA

プレキシオン株式会社第一開発本部

R&D Division 1, PreXion Corporation

キーワード :

【目的】
我々はLED光源方式光音響イメージングシステムを開発し,疑似血管ファントムおよび手指血管からの超音波と光音響波のRFデータを比較評価することによりLED光源方式による光音響波の特性を知ることで画質改善に繋がる手法を見出すことを目的とした.
【方法】
実験に用いた光音響イメージングシステムには光音響波と超音波の受信信号を選択的に増幅できる回路を搭載した.超音波の送受信と光音響波の受信を行なうリニアプローブ(128ch,中心周波数10MHz)を接続しLED光源をプローブの両側に装着した.測定対象として両端を閉じたシリコンチューブにヘモグロビン粉末(ブタ由来 東京化成工業)を純水に溶かした溶液を封入し疑似血管とし,イントラリポス(0.7%大塚製薬)と脱気水を入れた水槽内に設置し観測した.LED光源から約200μJ/pulse,Peak波長850nmのパルス光を照射し,超音波と光音響波の受信信号を取得した.また手指を水槽内でスキャンし静脈血管から超音波と光音響波の受信信号を取得した.
【結果・考察】
LED光源方式光音響イメージングシステムでの針からの光音響波描出について昨年報告した.その後の実験により針の信号に比べ,疑似血管や手指血管から得られた光音響波の信号は非常に微弱であることがわかった.そこで光音響波の受信時にはさらに信号を増幅することで,疑似血管や手指血管からの信号を描出できないか実験解析してきた.我々のシステムで通常の増幅時(48dB)の手指血管スキャン例として,超音波画像に光音響画像を重畳表示した画像を図1に示す.また元RFデータの光音響画像を図2に示し,血管付近を拡大した部分の信号強度を図3に示す.図3に示すように血管からの光音響信号はほぼ1digitしか無いことがわかる.一方,増幅回路により97dBに上げ手指血管をスキャンした例を図4(超音波と光音響波の重畳),図5(光音響波のRFデータ),図6(血管付近の信号強度)に示す.図6に示すように光音響波の信号が増幅され血管からの光音響波受信には増幅回路が有効であることがわかった.しかし,超音波の受信時には信号が大きいため飽和してしまう.従って,我々は超音波の受信時とは別に選択的に光音響波の受信時だけさらに信号を増幅することで,光音響波のS/N向上を実現し,手指血管の静脈のみならず動脈の拍動も捉えられるようになった.