Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 工学基礎
シンポジウム 工学基礎3 超音波照射と微小気泡が生じる機械的作用を用いた新治療技術

(S183)

ソノポレーションの機械的作用機序-in vivo模擬条件における検討

Sonoporation mechanisms in a mechanical aspect: a study in in vivo mimicking condition

工藤 信樹

Nobuki KUDO

北海道大学大学院情報科学研究科

Graduate School of Information Science and Technology, Hokkaido University

キーワード :

【はじめに】
ソノポレーションとは,超音波照射により細胞膜の透過性を一時的に向上させ,通常は細胞内に取り込まれない遺伝子や薬剤をその内部に取り込ませる技術をいう.初期的には,連続波もしくは波数の長いバースト波を照射する方法が用いられてきた.その後,微小気泡存在下ではソノポレーションの効率が大幅に向上することが報告され,微小気泡と細胞の相互作用の解明に向けた多くの検討が行われている.キャビテーションがソノポレーションの発生に大きな役割を果たしていることは広く認識されている.しかし,キャビテーションは,熱的作用と音響化学的作用,さらには機械的作用まで幅広い作用機序を持つことから,その機序は現時点においても明らかにされていない.
【機械的作用の機序】
ソノポレーションの発生機序を明らかにするために,細胞と気泡の相互作用を直接顕微観察することにより微小気泡が細胞におよぼす機械的作用を明らかにする研究が行われている.Fig. 1に微小気泡が生じる運動の機械的作用として考えられている代表的な機序を示す*.A, B膨張・収縮する気泡がその近傍にある細胞膜を引き延ばすことにより細胞膜に断裂が生じる,C気泡の非等方的収縮により生じる微小な流れが細胞膜を穿孔する,D微小気泡の連続的な振動によってその周囲に生じる渦流(マイクロストリーミング)が及ぼす剪断力により細胞膜が断裂する,E音響放射力により力を受けた気泡が並進的な動きを生じて細胞膜が細胞膜を破断するなどの機序が考えられている.
In vivo模擬条件におけるソノポレーション観察】
我々は,in vivo条件で効率の良いソノポレーションを実現することを最終的な目的として検討を行っている.In vivo条件での微小気泡の運動は,気泡の特性だけではなく,細胞など周囲の物理的条件にも強く影響を受ける.発表では,in vivo条件を模擬するために柔軟な足場層状に培養した細胞を対象にソノポレーション現象の観察を行った結果を報告する.
*https://www.researchgate.net/publication/236138386_Sonoporation_Mechanistic_insights_and_ongoing_challenges_for_gene_transfer.