Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 工学基礎
シンポジウム 工学基礎2 HIFUの臨床応用

(S180)

肝癌HIFU治療の安全性と有効性

The safety and efficacy of HIFU treatment for hepatocellular carcinoma

福田 浩之, 沼田 和司, 道端 信貴, 前田 愼, 田中 克明, 小泉 憲裕, 葭仲 潔, 田中 徹, 小林 暁, 徳田 淳一

Hiroyuki FUKUDA, Kazushi NUMATA, Nobutaka DOUBA, Shin MAEDA, Katsuai TANAKA, Norihiro KOIZUMI, Kiyoshi YOSHINAKA, Toru TANAKA, Akir KOBAYASHI, Junichi TOKUDA

1横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター, 2横浜市立大学附属病院消化器内科, 3電気通信大学情報理工学研究科, 4産業技術総合研究所人間福祉医工学研究部門, 5SBIファーマ, 6放射線医学総合研究所情報工学, 7ブリガムウイメンズ病院放射線科

1Gastroenterological Center, Yokohama City University Medical Center, 2Department of gastroenterology, Yokohama City University Hospital, 3Department of technology, The University of Electro-Communications, 4Department of technology, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 5SBI pharma, 6Department of technology, National Institute of Radiological Sciences, 7Department of radiology, Brigham and Women’s Hospital

キーワード :

【目的】
体外式集束強力超音波(high intensity focused ultrasound: HIFU)は高エネルギー超音波を微小焦点域に集中して,熱凝固により癌組織を壊死させる穿刺を必要としない低侵襲治療法である.今回,肝癌のHIFU治療に,呼吸トラッキング,3D slicer navigation,5-ALAを併用しその効果と安全性について検討した.
【方法】
対象は,HIFUを施行した腫瘍径30mm以下の肝細胞癌50例である.HIFU装置は,重慶Haifu社製JC200,綿陽社製HIFU装置を使用した.3D・4D超音波はLOGIQ 7(GE製)を用いた.3D slicerによるnavigationは3Dセンサーとして赤外線カメラPolaris Vicra optical tracker(Northern Digital, Ontario, Canada)を使用した.呼吸トラッキングには,template matching法を用いた.超音波造影剤はソナゾイドを用いた.5-ALA併用による肝癌HIFU治療においては,5-ALA(20mg/kg)をHIFU施行3時間前に水に溶解し経口内服した.
【成績】
50例中40例において,1回の治療で完全壊死を得ることが可能であった.全例において,術後の血液データにて,トランスアミナーゼ,CRP,肝予備能に大きな変化はみられず,重篤な合併症も認めなかった.重慶HIFU装置での平均照射時間は11.8±6.8分,平均治療時間は207±106分であったが,綿陽HIFU導入後,4D超音波とリアルタイム3D造影超音波により,ベッドを移動せずに効果判定が可能となったこと,モニター画像の画質の改善による小さい病変の描出が容易となったことにより,4D超音波とリアルタイム3D造影超音波,呼吸トラッキング,3D slicer navigationにより,平均照射時間,平均治療時間ともに短縮に役立った.5-ALA併用による肝癌HIFU治療6例においては,照射回数,パワーともに低減が可能となった.
【結語】
HIFUは,安全で有効な治療であり有用であったが,現在RFAと比較し,治療時間の長いことが課題である.呼吸トラッキング,3D slicer navigation,5-ALA併用により,治療時間の短縮に有用な可能性が示唆された.
【参考論文】
Fukuda H, Ito R, Ohto M, Sakamoto A, Karasawa E, Yamaguchi T, Shinozuka N, Zhu H, Wang ZB. Treatment of Small Hepatocellular Carcinomas with US-guided High-Intensity Focused Ultrasound. Ultrasound Med Biol. 2011.37:1222-9.
Fukuda H, Numata K, Nozaki A, Kondo M, Morimoto M, Tanaka K, Ito R, Ohto M, Ishibashi Y, Oshima N, Ito A, Zhu H, Wang ZB. Hyperecho in ultrasound images during high-intensity focused ultrasound ablation for hepatocellular carcinomas. Eur J Radiol. 2011. 80:e571-5.