Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
特別企画(超音波検査士制度委員会主催) 認定超音波検査士取得のための報告書等作成時のポイントと注意点

(S169)

血管エコー報告書のポイント

Points of vascular ultrasound reports

平井 都始子

Toshiko HIRAI

奈良県立医科大学附属病院総合画像診断センター

General Diagnostic Imaging Center, Nara Medical University

キーワード :

血管エコーは,頸動脈,大動脈,腎動脈,末梢動脈,末梢静脈とその他血管に分類され,それぞれ検査方法や評価方法が異なる.認定超音波検査士取得のための報告書だけでなく日常検査の血管エコー報告書作成に重要なポイントを,全ての血管エコーに共通の注意点と各血管エコーでのポイントについて解説する.
【全体的な注意点とポイント】
1.日本超音波医学会の「診断基準」の項を参照し,「超音波による頸動脈病変の標準的評価法」,「下肢深部静脈血栓症の標準的超音波診断法」,「超音波による大動脈・末梢動脈病変の標準的評価法」,「超音波による腎動脈病変の標準的評価法」に準じて記載する.
2.病変のある部分だけでなく,健側も含めて評価し記載する.
3.報告書に記載する用語は,PI,RI,IMTなど超音波用語集にある略語以外は初めにフルスペルを記載する.
4.どの血管をどのような走査で撮った画像かがわかるように左右や血管名,ボディーマークを入れる.
5.正しく計測されていることが確認できるように,カラーバーや深度の表示,各種パラメータの入った画像を提示する.
6.シェーマや表などを用いてわかりやすく記載する.
【頸動脈エコー】
「超音波による頸動脈病変の標準的評価法2016(案)」が新たに出され,現在パブリックコメント募集中である.次年度の試験は新しい標準的評価法に基づいて実施するので,特に狭窄の評価法など変更されている部分に注意してもらいたい.
【大動脈エコー】
腹部大動脈瘤では瘤の形態に応じた正しい瘤径の計測が重要.
【腎動脈エコー】
腎動脈狭窄の症例では腎動脈の血流波形が入射角度や角度補正などに注意して適切に計測され,評価すべき項目が全て記載されていることがポイントである.
【末梢動脈エコー】
健側も含めた全体の血流波形が示され,病変の部位,形態や重症度が評価できる情報がシェーマや超音波画像などでわかりやすく示されていること.
【末梢静脈エコー】
深部静脈血栓症では血栓の直接所見を明記,静脈瘤についてはその原因となる弁不全の評価についても画像を提示し,シェーマなどでわかりやすく示されていること.
【その他血管エコー】
血液透析のためのシャント不全の評価や腹部臓器の動脈瘤などは血管の症例としてよいが,門脈系の血管病変は消化器に含まれ血管領域の症例としては認めない.