宮川 めぐみ

Megumi MIYAKAWA

虎の門病院内分泌代謝科

Endocrine Center, Toranomon Hospital

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甲状腺結節は近年検診の普及や他の画像診断（頸動脈エコーや胸部CT，PET-CTなど）で偶発的に発見される頻度が非常に増加している．日本でのドックでの甲状腺超音波検診でも嚢胞や充実性結節などの有所見率は46.3％と高いことが報告されている．このように高頻度で発見される甲状腺結節性病変に対してどのように超音波診断をしていくか本日は多くの症例を呈示しながら概説したいと考える．
甲状腺の結節性病変には非腫瘍性の病変として嚢胞，腺腫様結節，腺腫様甲状腺腫がある．腫瘍性病変には良性の濾胞腺腫と悪性の甲状腺癌があり，甲状腺癌には乳頭癌，濾胞癌，低分化癌，未分化癌，髄様癌，悪性リンパ腫がある．良悪性の鑑別には2011年に公示された日超医の診断基準を用いて，Bモード画像での形状（整／不整），境界（明瞭・平滑／不明瞭・粗雑），内部エコー（均質／不均質），エコーレベル（高～低／低），微細高エコー（なし／あり），境界部低エコー帯（あり／なし）で鑑別していく．またBモードに加えてカラードプラで結節内の血流分布や腫瘍血管の血流解析（FFT解析）を行っていく．一方，組織弾性評価（エラストグラフィ）については，I）組織弾性イメージング（Elasticity Imaging: EI）としてa）用手圧迫法とb）音響圧迫法があり，II）組織弾性定量としてはa）組織弾性イメージング（EI）における半定量，b）shear wave速度計測，c）shear wave elastographyの任意ROI内の平均値がある．Real-time Tissue Elastography（RTE）についての報告では感度81.8～97％，特異度81～100％ともに高い評価を得ている．
また甲状腺機能異常をきたすびまん性疾患にはバセドウ病，橋本病，亜急性甲状腺炎，無痛性甲状腺炎，急性化膿性甲状腺炎などがあるが，その特徴的超音波所見についても概説する．