Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
特別企画 領域横断 プライマリ・ケアで役立つ体表臓器超音波診断と実践活用術

(S163)

耳鼻咽喉科領域~耳下腺・顎下腺を中心に~

Parotid gland and submandibular gland

古川 まどか

Madoka FURUKAWA

神奈川県立がんセンター頭頸部外科

Department of head and neck surgery, Kanagawa Cancer Center

キーワード :

【1.耳下腺・顎下腺とは】
耳下腺・顎下腺はいずれも唾液を分泌する外分泌腺である.耳下腺は耳前部から耳下部皮下に存在し,耳下腺管は頬粘膜に開口する.顎下腺は下顎骨の内側,顎下三角にあり,顎下腺管は口腔底正中部近くの舌下小丘に開口する.唾液分泌は交感神経,副交感神経両者の支配を受け調節されている.
【2.耳下腺・顎下腺疾患について】
唾液腺には炎症性疾患や腫瘍性病変のほか,全身疾患の一部症状として病変がみられることもあり,唾液腺にみられる病態は多岐にわたる.通常,耳下腺・顎下腺の超音波で診断,鑑別診断を行う疾患を挙げる.
①炎症性疾患: 急性化膿性耳下腺炎,急性化膿性顎下腺炎,唾石症,流行性耳下腺炎,反復性耳下腺炎など
②腫瘍性疾患: 唾液腺良性腫瘍,唾液腺悪性腫瘍,悪性リンパ腫など
③その他の唾液腺疾患:シェーグレン症候群,IgG4関連疾患など
④唾液腺疾患と鑑別を要する疾患:リンパ節腫脹,咬筋肥大,下顎骨腫瘍など
【3.耳下腺・顎下腺疾患のプライマリケア】
耳下腺・顎下腺疾患には緊急の処置を要する疾患や悪性疾患も多いため適切な初期判断が重要である.プライマリケアは通常,クリニックや一般病院で行われるため,多忙な診療の中で瞬時に診断や治療方針や緊急性を判断しなくてはならない.その場合,超音波検査が非常に役立つ.近年の超音波診断装置の小型化,操作の簡便化に伴い,一般外来でも手軽に検査ができるようになり,初期段階の診療における簡易検査としての超音波検査の位置づけが重要となりつつある.とくに小児においては,放射線被曝の心配がいらないため非常に有用である.頭頸部領域の耳下腺,顎下腺の診断方法,代表的な疾患とその臨床像,超音波像における鑑別法の要点について述べる.